50年ぶりの経済危機が米国を襲う?元ゴールドマンFMが「2022年の世界経済」を解説
景気回復と株高は続くのか? かつてゴールドマン・サックスで2000億円運用していた凄腕ファンドマネジャー(FM)にして、フィンテック系ベンチャー「クリプタクト」共同創業者のアミン・アズムデ氏(@aminimaz)が2022年の世界経済を大予測。米国の動向から日本株、原油相場まで占ってもらった本企画。今回はアメリカ経済編。
金融緩和の縮小と11月の中間選挙
2021年11月、米国で起きた2つのことが大きな注目を集めた。1つはFOMC(米連邦公開市場委員会)がテーパリング(金融緩和の縮小)を決定したこと。金融引き締めに向けた一歩が、株式市場の歩みを止めるリスクについて投資家は意識するようになったのだ。
もう1つはバージニア州知事選挙だ。同州は民主党の牙城と言われる「ブルーステート」。バイデン氏も2020年の大統領選時にはトランプ氏に10ポイントの差をつけて勝利したが、その1年足らずの間に実施された州知事選で共和党候補が勝利。
それも、トランプ支持を強烈に訴える共和党の黒人女性も同州副知事選に勝利するというおまけつきだった。2022年の中間選挙を前に、共和党および“トランプ派”が勢いづいたのは間違いない。
カギを握るのはインフレの行方
これらが金融市場に与える影響はあるのか? 2017年までゴールドマン・サックス証券で2000億円もの資金運用に携わっていたアミン・アズムデ氏はこう話す。
「FED(米連邦準備制度)の金融政策も、米中間選挙もカギを握るのはインフレの行方です」
グローバルなお金の流れを知り尽くす投資のプロ中のプロは目下、米国のインフレ圧力を注視しているというのだ。
「10月の米CPI(消費者物価指数)は31年ぶりの高水準となる前年同月比6.2%の上昇。インフレの進展から市場は2022年に1、2回の利上げを織り込んでいますが、パウエルFRB(連邦準備制度理事会)議長は『一時的』の定義を曖昧にしたまま『インフレは一時的』と繰り返すばかり。11月のFOMC後の会見は印象的でした」