2021冬ボーナスは平均約38万円。実は社員にとって損なボーナス制の裏側
会社にとっても余計な事務の手間に
また、夏冬にボーナスを支給することは会社にとっても余計な事務の手間をもたらしています。
ボーナスと毎月の給与に対する所得税や社会保険料の計算法は若干異なるため、担当者は別々に計算をして、それぞれ明細を作らないといけない。給与計算全体の事務作業コストのうち、賞与の計算にかかる割合は10~20%に達しますからバカにできません。
かつてはボーナスに社会保険料がかからない時期があり、ボーナス制度は会社にとって一定の社会保険料の削減効果がありました。しかし、1994年度から「特別保険料」としてボーナスから社会保険料が引かれ始め、2003年度からは「総報酬制」へ移行して、本格的に徴収されるようになっています。その点で、もはや夏冬の支給には意味がありませんし、前述のように従業員にとっても損なのです。
毎月のインセンティブ制導入がいい
そのため、ボーナス額が決まっているのであれば、年俸制のように12分割して毎月の給与に反映するほうがいい。また、適切な評価基準を作り、毎月のインセンティブ制を導入すれば、会社は無駄なく能力に応じた報酬を出すことが可能になり、一律のボーナス制度のように、働かない社員へ多く支払ってしまう事態も防げます。
こうして考えていくと、必ずしも現状のボーナス制度を継続する必要はありません。
<取材・文/沼澤典史(清談社)>
【斉藤輝之】
社会保険労務士。パンクバンド、営業職、公務員などを経て社労士に。千葉県柏市で「サイトー社労士事務所」を開業。「パンク社労士」を自称し、YouTube活動も行っている
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