紙巻たばこ日本撤退へ…フィリップ・モリスの新型「アイコス」大刷新の背景
加熱式たばこの仕組みはどうなっている?
通常の紙巻たばこは800度以上という燃焼温度による化学反応で有害性成分を含む数多くの化学物質が生じさせる。
対して、歴代IQOSはたばこ葉を(燃やすのではなく)燃焼に至らない温度で加熱するため、たばこベイパー(たばこ葉を加熱した際に発生する蒸気)内の有害性成分の量は紙巻たばこの煙と比べて格段に少ないとされる。
「マイクロチップやリチウムイオン電池などもIQOSのコアの部分です。加熱自体は技術的にそれほど難しいことではありませんが、平均して300度以下の温度を一定に保つ制御面のテクノロジーが組み合わさったデバイスになっています」
また、紙巻たばこの喫煙者が加熱式たばこへの移行で重要視する要素のひとつが味わいだろう。IQOSは初代から“内側加熱”を提唱している。専用たばこスティックの巻紙の外側から加熱するのではなく、ホルダーに挿しこみ、加熱ブレードが内側から直接たばこ葉を加熱することで、たばこ葉本来の味わいと香りを引き出す仕組みを採用。
テクノロジー面で大きな変化も
しかしながら、ホルダーと呼ばれる部分にあるブレードにたばこ葉を直接挿し込む仕組みのため、残りカスが付着し、クリーニングが必要になったり、ブレードが破損したりするケースも少なくなかった。
「IQOS ILUMA」シリーズではアプローチを大きく刷新。誘熱体をたばこスティックに入れ、コイルの熱伝導によりたばこスティックの誘熱体が加熱する「スマートコア・インダクション・システム(TM)」という方式を導入した。
「IQOS ILUMAは、気に入っていただいている方も多い『IQOS3』のデザインを踏襲しながら、テクノロジーを大きく進化させました。システムが違うため従来のたばこスティックとの互換性はありませんが、クリーニングの手間と破損の心配を軽減させ、味わいの部分も実現させたかたちです。
従来のたばこスティックとの互換性をなくすことは勇気のいる決断でしたが、そのリスクを差し引いても、『クリーニングの手間が面倒』『ブレード部分が破損してしまう』といった声に応えるメリットのほうが大きいという判断でした」