DVでカラダにアザ…母親の交際相手が変貌し、振り回された娘の過去
美緒さんもキャバクラで働くように
「通っていた専門学校は学費が払えなくなってやめましたし、母に渡していたアルバイト代だけでは足りないと言われ、キャバクラで働くようになりました。消費者金融でも借りて、母にお金を渡していました。母の頑張っている姿や自分を守ってきてくれた姿を思い出すと、どうしても見捨てることができなかったんです」
そのうち母の店が潰れて収入がなくなり、お金が足りないと母に泣きつかれ、美緒さんはさまざまな仕事で働いて清水にお金を渡すようになります。
「3人で住んではいても、清水はもちろん、母とも話さなくなっていて、寝るためだけに家に帰るような生活を送っていました。毎日、いろいろ考えてしまって、自然に涙が流れている感じでした。精神的にもおかしくなっていたんじゃないかな?」
地獄の日々と変わったお客
そんなとき、勤務先のお店にSさん(当時27歳)という男性がやってきます。話を聞くと、Sさんは1度ひどく女性に騙され、女性と話すのも苦手になったということでした。
「上司がSのお金を支払っていたこともあり、上司を置いて先に帰るわけにもいかず、とりあえず時間を消費することになったんです。120分もあったので、お互いにいろいろと話してしまいました」
しかし、美緒さんが自虐ネタとして母や清水のことを話したところ、男性はおもむろに立ち上がり「僕が助けます」と言い、スーツのポケットから名刺を取り出したのだとか。
「Sは、DV被害に遭っている人たちを救う活動をしているNPO法人の職員だったんです。すごく驚きましたし、本職の人から『暴力を振るわれている側は、正常な判断を失っていることがほとんど』などと教えてもらい、すごく納得しました」