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アフガン混乱で日本株への影響は?ベトナム戦争時とそっくりな状況に

コラム

ベトナム戦争時には超ドル安相場が発生

「’60~’70年代にかけて20年続いたベトナム戦争でも、米国は民主化に失敗した結果、国の信頼を失墜させました。戦争にお金を使いすぎたニクソン政権はドルと金の交換を突如停止するニクソン・ショックを起こして固定相場制を放棄し、急激なドル安相場が起きた。対円では360円から180円へと、50%もの猛烈なドル安が進みました。1975年の終戦後1年ほどはNYダウが上昇しましたが、その後、頭打ちになって長い停滞期間を迎えたのです」(西原氏)

マネ得

 そんな潮流の変化を見越して動き始めている投資家もいる。

「海外の機関投資家はバブル崩壊への警戒感からキャッシュポジションを増やしていると聞きます。また著名投資家のジェフリー・ガンドラックは行きすぎた金融緩和の影響もあり、『今後、数年間でドルは唯一の基軸通貨としての地位を失う』と語っています」(同)

50%前後の猛烈なドル安も起きる?

 1944年以来、基軸通貨の座に君臨してきたドル。その座を追い落とされるとはにわかには信じがたいが……。

「来年にも米国は利上げし、長期金利も上昇に転じてドル高が進むでしょう。しかし、長期金利が3~4%台へと達すると、株安を引き起こす。そこがパラダイムチェンジになる。アフガン撤退で露呈した米軍の国力衰退が基軸通貨としての信用を失墜させてドル売りが加速し、50%前後の猛烈なドル安も起きる。そのとき買われるのは実物資産の金。ガンドラックも金を買い集めています。ニクソン・ショック→サイゴン陥落を経てドルが大幅に値下がりした動きを先取りしているわけです」(同)

マネ得

 そのとき、日本株はどうなるか。

「米軍のアフガン侵攻はビンラディン殺害だけでなく中国への牽制という意味もありました。アフガンは『ハート・オブ・アジア』とも呼ばれる交通の要衝。中国が陸路で中東へと抜けるのに欠かせない土地だったからです。ただ、この20年で中国はパキスタンとの関係を深め中東へ抜けるルートを確保しました。米軍がアフガンに駐留する意味がなくなり、対中国でより重要な太平洋へ戦力を振り向けたいのでしょう」(エミン氏)

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