人気声優・松田颯水が語る “一人称”へのこだわり「敵対視されることもある」
オーディションに落ち続ける…挫折の体験
――今回で言うと初主演の続編であり、キャリアは順調そのものとお見受けしますが、挫折の経験などありましたか?
松田:声優デビューの後、1年間はほぼラジオの仕事をしていて、大きいアニメとゲームの作品が決まって、自分のお芝居の人生が動き出す感じがしたんですよね。でも、その後、まったくオーディションに受からなくなった時期がありました。これが挫折ですね。そして1年間、オーディションを受ける枠からもこぼれ落ちてしまったんです。
――出口がなくなってしまったと。それで当時、何をしたのですか?
松田:オーディションがない間、自分の売り込みをすることにしたんです。事務所に頼るだけではなく、当時、飲み会や先方が主宰する会など、何時からでも顔を出すことにしたんです。あの経験がなければ、たぶん甘えた人間になっていたと思います。このままではいけない、誰かを待っているだけではダメだと思いましたね。
声優になったとき「あれ観ていました!」
――そういう活動は実になるものなんですか?
松田:なりました。1年間、何度かお会いしていた監督さんがデビュー作の監督さんだったのですが、指名で役をくださいました。それがきっかけになって、もう一度、オーディションを受けられる流れにもなったんです。自分にできる範囲の努力は、したほうがいいと思いますね。特にわたしはシンデレラガールみたいに駆け上がった9年間ではないので、自分でできることをやってみようとしたことが、良い結果になりました。
――今、課題に感じていることはありますか?
松田:オーディションが毎回、就活の面接みたいなところですかね(笑)。この言葉に尽きるのですが、大変です。他人より緊張する機会が多いと思うので、楽しいとツラいのMAX値の幅も広く感じています。これは心臓、体にけっこうきますね(笑)。楽しいけれど大変! な、ところはあります。
――なりたい姿、理想の姿はありますか?
松田:これはいろいろな場所で言わせていただいているのですが、お子さんに向けたターゲットの作品に出ているからこそ、その子たちがそれをきっかけに声優を目指して、声優になったとき「あれ観ていました!」と声をかけられるような声優になるのが夢です。