アップル元社員23歳が“フルーツ”で起業した背景「農業のマイナスイメージを払拭したい」
日本の果物は、甘味が強く高品質
――果物をECで販売する狙いはどこにありますか?
樋泉:旬の果物って野菜に比べると特別感が大きい。そこで、地元でしか出回らないような、最高峰の果物を全国の方々にお届けしたいと思い始めました。オンラインで販売することで中間業者を介する必要がなくなるので、その分、農家へのリターンが大きくなるというメリットもあります。
――確かに、果物は傷が付きやすいから、梱包して家まで届けてもらえると便利ですね。
樋泉:実は、海外と比べると日本の果物生産は独特なんです。海外では果物も野菜同様の位置づけで量産されるんですけど、四季がはっきりしている日本では、年に1度のシーズンに高品質な果物が出来るように特化させてきました。国土が狭いのも関係があるでしょう。
果物の収穫は年に一度の特別感
――海外と比較して考えられるのは、やはり留学の経験が活きているんですね。
樋泉:はい。日本の果物は甘みがとても強くて品質が高いです。先人農家が長い時間をかけて気付け上げてきた日本独自の品種も数多くあるので、メイドインジャパンの最高峰の果物は輸出でも日本を支える品となるポテンシャルを備えていると思っています。
――シャインマスカットや、あまおうは日本で開発された品種なんですよね。そう考えると、普段私たちが食べている果物ってすごく手がかかっているんだなって実感できます。また、最近では食材のEC販売も増えつつありますが、その中でBonchiの特徴は何でしょう?
樋泉:Bonchiの特徴は販売する品物を絞っていることです。いろんな食材がサイトで一度に見られると便利ではありますが、それぞれの商品が際立たなくなってしまう。僕らはAmazonや楽天の食材版を目指しているわけではなく、1つひとつの果物を通して人の心・感情に訴えかけることを大事にしたいんです。
果物の収穫は年に1回だけっていう特別感を伝えたいし、そういう意識とかカルチャー自体を作りたいと思っています。例えば、「7月には◯◯さんが作った桃を取り寄せて家族で食べよう」とか。美味しい果物を食べることでお客さんにも幸せを感じてもらって、農家も適切な収入を得てもらえる、そんな良いサイクルを生み出せたら良いなと思います。