25歳で起業して借金1500万円を背負った男のリアル「遊んだ経験が忘れられなくて」
順調だった経営があっという間に…
しかし、順調だった経営にも、次第に怪しい影が立ち込めてきます。
「アレッ……って思い始めたのは、新しいオフィスに移転して2年くらい経った頃ですね。メインで取引していた企業からの依頼が極端に減りました。他の企業からも依頼を受けていたので、すぐに倒産してしまうような状況ではなかったのですが、徐々に経営が悪化していきました」
そして2015年には、じわじわと前田さんの会社は経営不振に陥っていきます。クラウドソーシングサイトの隆盛により、フリーランスが増加し始めたことで、前田さんの会社に発注されていた案件は、個人事業主に安く発注されるようになったのです。
「フリーランスに依頼したほうが、作業費が安く済ませられると気づいたのでしょう」と前田さんは悲しい表情で振り返ります。実際、フリーランスの報酬相場と、自社のおおよその制作費用を照らし合わせてみたところ、その差はなんと2倍以上であったとか。
数千万円の負債を1500万円までに
「事業内容の幅を広げたり、『即日で納品します』なんてセールスを打ち出してみたのですがダメでした。あんなに順調だった経営があっという間に傾いてしまい……。さらに、そこへダメ押しで仲間の不正も発覚。
密かに転職を検討していたらしい仲間が転職先に内部の情報を漏らしていたようなのです。『仲の良い友人と起業しよう』という考えでしたが、結果的に中途半端な志の人材を集めてしまったと大きく後悔しました」
結局、前田さんの会社は起業からたった3年で倒産。数千万円の負債があり、税金対策と副収入(家賃収入)のために所有していた不動産や当時住んでいた都心のマンションなどを売却しても、借金1500万円が残りました。
「自己破産」という選択肢もあったものの、ビジネスで成功していた頃のプライドが邪魔をして、手続きに踏み切れなかったとか。