コロナで一時は売上95%減、老舗の挑戦。“マリトッツォ風カエルまんじゅう”大ヒットのわけ
DJもできる取締役
また、昔DJをしたことがあると言う後藤氏 。「学生時代から音楽に興味があり、大学に入ってからDJ機器を購入して練習していました。社会人になり、知人のイベンターに頼み込み、定期的にクラブでスキルを磨きました」と語る。そこでなんと後藤氏はDJと和菓子をコラボさせたのだ。
和菓子とDJ? 不思議な組み合わせだが、経営の仕事にも活きているという。
「自分が出演する時間や前後の出演者など、さまざまな変数でお客様の満足度が左右する空間を感じました。そして、いかにその空間をプロデュースしなければならないかを学んだのです。事前に想像して演奏し、クラブで演奏がハマった時のお客様の盛り上がりを感じるのは格別でした」
取締役に就任した後も、青柳総本家を背負って名古屋や東京でもDJ活動をしているという。残念ながら現在はコロナでイベントができないが、早く再開したいとのこと。
和菓子は世界で戦える
コロナ禍で開催された東京オリンピックで、日本の食文化のレベルの高さが改めて注目されている。世界で和菓子は十分戦える要素だが、今度海外に発信する予定はあるのか聞いてみた。
「ういろうは十分に世界で通用すると思います。練り切り菓子など見た目が綺麗ですよね。腹持ちも良いですし、脂質も少ない。そこで食べる意味や付加価値をつけることが重要になってくるはずです。日本の文化として同じように戦えると思っています」
最後に「理想論でいうと『ういろうがないとだめだ』という感じで、みんなが助かるようなものを作りたいです」と語る。青柳総本家の往古来今について、後藤氏はこれからも正面から立ち向かっていくことだろう。
<取材・文/大川藍 撮影協力/青柳総本家>