トヨタ関連企業を辞めて「歌舞伎町でNo.1ホスト」になった男の半生
本音での接客で売り上げナンバーワンに
当時28歳。ホストの中ではかなりの遅いスタートだが、地元を捨てお金もなく「もう戻れるところはない」と無我夢中で働いた。
「崖っぷちだからとにかく必死でした。お店での接客はもちろん、当時はSNSもなかったのでメールや電話、ブログなどで積極的に営業。入店して6か月でナンバーに入れたのですが、その後は伸び悩みました。原因は明らかでした。年齢をサバ読みし、とにかく好かれようと偽りの自分を演じていたこと。女の子に見透かされるし、本音で話せない自分自身にもモヤモヤしていました。ならばいっそのこと、嘘つくのをやめようと思ったんです。そしたら人気が上がりました。
意外と年上のほうが『落ち着く』とか『大人の男性』とかポジティブに捉えてもらえることがわかって。接客も、ゴマをするんじゃなくて『俺はホストだから売り上げを気にしてる』と伝えるように。その代わり『お金を使ってくれた分、楽しませるから』と正直に向き合いました」
愛知県は自分の力で開拓していきたい
入店から3年後の2011年にはグループの年間売り上げナンバーワンに。以降、10年にわたり、売り上げトップをキープ。もともと「皐月」という源氏名だったが、その活躍からいつしか「GOD皐月」と呼ばれるようになった。
2016年に36歳でホストを引退し、経営者の道へ。2020年からはコロナによる苦境も続くが、地元・愛知県でも新店舗をオープンする予定だ。
「両親は今の働き方を認めて応援してくれています。地元に錦を飾る、というわけではないけれど、愛知県は自分の力で開拓していきたいという気持ちがあります。とはいえ、実際はめちゃくちゃ大変。だからこそもっともっと仕事に熱狂して、これからも成長していきたいです」
<取材・文/橋本岬>