トヨタ関連企業を辞めて「歌舞伎町でNo.1ホスト」になった男の半生
結婚資金を使い、世界一周の旅へ
「たまたま手に取った高橋歩さんの『WORLD JOURNEY』(A-Works)という本に惹かれたんです。世界一周はお金がかかるし、英語も話せないと無理と思い込んでいましたが、英会話ができない著者が150万円で世界中を旅したという話が書いてあって。
『そういえば、結婚するために貯めていた200万円があるな』と思い出し、世界一周の旅に出ることにしました。当時は失うものがなかったので、『いけるとこまでいこう』と前向きな気持ちになれたんです。ただそのときも両親はすごく心配していたし、泣かれましたね」
地元でさえ出たことのない皐月さんが憧れていた東京よりさらに遠い、世界へ飛び出した。世界一周は、今までに触れたことのない価値観や人との出会いがあり、心に大きな変化を与えたという。
保険営業かホストで迷った結果…
「23か国訪れた中で、特に印象に残っているのはインド。日本人はもちろん、アジア人がほとんどいない小さな町を訪れたとき、『自分はなんてちっぽけなんだ』と思うと同時に、『だからこそなんでもできる』と思ったんです。気持ちがふっと軽くなりました。今までやりたいことや成し遂げたことが何もなかったけれど、『世界一周をする』という目標が達成できたことで、自分に自信が持てるようになりました」
日本に帰国後、3か月の療養期間を経て、「自分が本当に熱狂できる仕事」を見つけるために上京を決意する。
「大きなことを成し遂げたかったので、努力した分だけ結果につながる営業職をやりたいと思いました。営業の過酷さでいうと、昼間だと保険、夜だとホストというイメージがあり、どちらにしようか悩んだ結果、ちょっとだけ顔に自信があったので後者を選ぶことに。でも、実際に働いてみると顔では全然敵わないことにすぐ気づきました(笑)」