職場でのタメ口、呼び捨てはアリ?今再注目のビジネス本に学ぶ
若い人のなかには、多くの人と関わる中で“相手との距離感が難しい”と感じる人も多いはず。特にビジネスにおいては苦戦する場面もしばしば訪れるでしょう。
そんな若い世代のビジネスマンから支持されている一冊が『入社1年目の教科書』(ダイヤモンド社)。10年前の本ですが、コロナ下で50万部を突破。担当編集者の和田史子氏は「リモート研修や自宅学習に最適な『仕事の教科書』として、多くの企業で採用された」と、再注目された理由を語ります。
今回は『入社1年目の教科書』の著者であり、ライフネット生命保険株式会社創業者の岩瀬大輔氏が「相手とのちょうどいい距離感」について解説します(以下、『入社1年目の教科書』から抜粋・再編)。
“多様化”による言葉遣いの戸惑い
中途入社が増え、雇用形態が多様化している現代の組織では、立場と年齢が逆転するケースが増えています。そうした状況の中、言葉遣いをどうすればいいのかわからないという話をよく耳にします。
僕は、比較的年功序列の考え方で自分の行動を決定しています。年齢が自分より上の人には、無条件で敬意を払うようにしています。たまたま会社の立場が上だからといって、自分より年上の人に偉そうな口をきいている人間を見ると、正直気分は良くありません。
僕は学年が1つでも上の人には、必ず敬語を使います。敬称も「さん」づけです。学年が同じ人の場合は、敬語を使うか使わないかはその時々で変わりますが、決して名前を呼び捨てにすることはありません。
その代わり、僕が生まれたのは1976年3月なのですが、同級生には丁寧語を使う代わりに、たった1か月しか違わない1976年4月生まれの人は年下扱いをすることもあります。その一方で、社外の人には年下でも敬意を払います。
年齢だけで偉そうにするのはやめよう
僕が苦手なのは、初対面やそれほどよく知りもしない段階で、年齢だけを基準にして無条件に偉そうにする人です。経営者の中では僕などまだまだ若い部類ですから、年上の方とのおつき合いのほうが多い。
だからと言って初対面で「いや、岩瀬クンはさあ~」と言われるのは、正直あまり心地よくありません。自分がそうされたいということもありますが、知らない人にはやはり丁寧に接すべきだと思います。
会話以外で相手との距離感に気をつけるべき場面は、メールでの敬称です。若い人にありがちなのは、社外の年齢や立場が上の人と仲良くなったり、可愛がってもらうと、相手と接近したと勘違いしてしまうことです。
学生向けの講演会に呼ばれ、講演のあとの飲み会で仲良くなった学生から、こんなお礼のメールが届きました。「岩瀬さん、昨日はありがとうございました。また飲みに連れていってください!」そのメールの返事に、僕はこう書きました。「○○様、昨日はお疲れ様でした」。
よそよそしいと思いますか? 社会人の礼儀として、仕事上のつき合いの関係では、一定の距離感を持って接することが望ましいとされています。