五輪チケット57万円分を買った30代の悩み「良い運の使い方をしたはずなのに」
東京五輪の開催が発表されてから、高倍率を勝ち抜き、見事チケットが当選。大金を支払い、あとは観戦当日を楽しみにするだけ――。そんな状況が、新型コロナウイルスの流行により一転した。現状では有観客開催予定であるが、客数制限もあり、手持ちのチケットによっては再抽選になる可能性がある。
また、現地観戦を決行した場合には、コロナ感染のリスクや、世間のバッシングの対象になる不安もある。五輪のチケットを手にした幸運者のはずだった30代男性に、現在の心境を聞いた。
チケットが当たった時は素直に嬉しかった
「現地観戦は一生に一度しかないチャンスだと思ったので、クレジットカードの上限金額を期間限定で引き上げて、上限ギリギリまで、観戦できそうなものは全て申し込みました」と語るのは、都内の出版社に勤務する山下さん(仮名・30代)。
「家に帰ったら、『当選しているので、こちらのサイトで支払いの手続きをしてください』というメールが届いていて、早速サイトにアクセスしました。なかなか繋がらなくて、1万何千くらいの人が購入を待っている状態でした。私の順番が来るまで、90分くらい待ちましたね。ようやく繋がって、どのチケットが当たったか判明しました」
山下さんが当選したチケットは、開会式のA席が2枚と、水泳の予選が2枚で、合計金額は57万円程度であった。東京五輪のチケットは、カスケード方式(※申込時に希望した席種の抽選結果が落選となっても、1つ下のランクの席種のチケットが販売定数に達していない場合に、1つ下の席種のチケットについても抽選対象とすることができるサービス)が採用されており、山下さんはその方式で申し込んだ結果、席種はダウンしたものの、見事、開会式のチケットを当てることができた。
東京五輪の公式ライセンス商品も購入
さらに山下さんは、日本各地の伝統工芸品を東京五輪の公式ライセンス商品として販売する「伝統工芸品コレクション」という取り組みを知り、完全オーダーメイドの三味線を購入したそうだ。現地でも、東京五輪関連のグッズをたくさん購入しようと期待に胸を膨らませていた。
しかし、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、2021年6月21日、観客数の上限が「定員の50%以内で最大1万人」となった。それに伴い、上限を超えて販売されたチケットの再抽選がアナウンスされた。これにより、一般観客向けに販売した363万枚のうち、91万枚が削減されることとなった。
再抽選で落選した場合は「無効チケット」となり、大会終了後に順次払い戻しがされる。当選した場合であっても、公式販売サイトから希望者は払い戻しができるが、期限が設けられている。