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客前で新入社員をコケにする“ブラック上司”を一喝した人物とは

コラム

西間さんを救った声の主は?

 シン……とした空気のなか、西間さんがゆっくりと顔を上げると、そこに立っていたのはなんと西間さんの母親だったそうです。たまたま銀行の客として来ていたのです。

 西間さんは、思春期頃から思ったことをズバっと言う母のことが苦手になり、最近では、ご飯を食べ終えると自分の部屋に逃げるように駆け込んでいたのだとか。

「避けていた母が、僕の苦手な“思ったことをズバっと言う”という方法で、僕のことを救ってくれたんです。僕は、スカッとした反面、自分が恥ずかしくなりました。母はさらに、『お客さんの前で叱責なんかしたら、ミスをした新入社員だけじゃなく、あなたの評価も下げますよ。仕事ができそうな方なのに、もったいないわ』と続け、ニッコリとほほ笑んだのです」

新入社員をコケにすることもなくなる

すかっと

 すると、伊藤さんは「俺の評価も下がる?」とブツブツとつぶやいたあと、「すみませんでした。いいことを教えてくれて、ありがとうございました」と謝罪したのでした。どういった意図で謝罪をしてくれたのかはわからないものの、その後、伊藤さんが人前で新入社員をコケにすることはなくなったと言います。

「このことがあってから、母へのわだかまりが徐々に解けていったんです。確かに母は、思ったことをズバっと言いますが、誰かを困らせたり貶めたりするような言葉を使うことはありません。そんな母を恥ずかしいと思っていた僕のほうこそ、同じ新入社員の仲間が理不尽な目に遭っても助けてさえあげられない、酷いヤツでした」

 西間さんはそのことがあってから、困っている人や嫌な目に遭っている人を見かけたら、できるだけ助けるように心がけているそうです。お母さんのように、言うべきことをズバッと言える人でありたいものですよね。

<取材・文/山内良子 イラスト/パウロタスク(@paultaskart)>

特集[令和のスカッとした話

フリーライター。おいしいものや楽しいこと、旅行が大好き! ライフ系や節約、歴史や日本文化を中心に、取材や経営者向けの記事も執筆。金融会社での勤務経験や接客改善業務での経験を活かした記事も得意です

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