東大卒、元財務省&マッキンゼーのエリートが見た「日米の“深刻な”経済格差」
少額でいいから、できるだけ早いうちに経験を積む
――おそらく、多くの読者はここまでの記事を読んで、お金に困らない人生を送るためには、自己投資と資産運用(投資)のどちらも外せないものだと思い始めていると思います。だけど、20代の収入では両方に充てる資金を確保するのがなかなか難しいのが現実ですよね。
柴山:だから、まずは自己投資を優先すべきです。自分を磨いてお金を稼ぐ能力を高めることが先決なのです。私の場合は、金融の知識や経験に加えてテクノロジーを学ぶことで新しいサービスを生み出せました。
自分に与えられている今の仕事を発展させる可能性がある分野について勉強するのもいいし、現状に満足していないなら、気になっている業界について探求してみるのも一考。また、特に転職を考えていないなら、今までに培ってきた人脈をさらに生かすにはどんなことを突き詰めるべきかを考えてみるといいでしょう。
――なるほど20代のうちはまずは自己投資がよさそうですね。
柴山:そのうえで、収入的に若干でもゆとりが出てくれば、できるだけ早いうちに資産運用をスタートさせたほうがいいでしょう。先にも述べたように時間をできるだけかけたほうが大きな成果を期待できるし、少額しか投資に回せなかったとしても、とにかく資産運用を実践して経験を積むことが重要だからです。
――まとまった資金が貯めてから、一気にドーンと本格的に投資を始めるのではダメなのですか?
柴山:むしろ、それは危ういですね。経験ゼロでいきなり大きな資金を投じてしまうと、失敗してしまう可能性が高いし、金銭的にも精神的にもダメージが大きくなるからです。むしろ、そうならないための学びとして、今のうちに投資を始めておくのが正解かもしれません。
――確かに、投資の知識は老後に役立ちそうですね。
柴山:わかりやすいのが、現役時代は預貯金しか利用したことがなかったにもかかわらず、退職金でいきなり投資を始めて大きな損を抱えるというシニアの例です。いきなり大金を持って、どうしてよいかわからず大損するパターン。こうならないためにも、まずは自己投資。そして、余裕ができたら少しずつ投資を始めておくとよいでしょう。
――同じ轍を踏まないように、今から気をつけたいと思います! 本日はありがとうございました。
<取材・文/大西洋平 撮影/山田耕司(本誌)>