早くも今年のベスト&ワースト!? Netflixの大型映画3本を辛口レビュー
上半期の注目映画、最後はナタリー・ポートマンと『スター・ウォーズ』新3部作で知られるオスカー・アイザックが共演する『アナイアレイション-全滅領域-』です。
監督は『エクス・マキナ』(’15年)でもアイザックとタッグを組んだアレックス・ガーランド。本作は「ロッテントマト」での支持率は87%、「メタクリティック」では79点と、ここまで紹介した2作品と比べるとかなりの好評価を受けています。
女性調査隊がエリアXと呼ばれる謎の領域でサバイバルしていく様子を描いた本作は、『ストーカー』(’79年)や『メッセージ』(‘16年)を彷彿とさせる哲学的なSF映画。
未知の空間で、それぞれ心に傷を負った女性隊員たちの闇が露わになっていく過程をしっかり描くだけでなく、グロテスクなクリーチャーやSFらしい特殊効果も楽しめ、エンタメ性にも溢れていました。アカデミー賞は難しいかもしれませんが、映画誌のランキングやSF・ホラー系の賞レースには顔を見せること必至でしょう。
前の2作と何が評価を分けたのか?
複雑なストーリー、多彩なキャスト、豪華な視覚効果といった点は前出のオリジナル作品2作と被りますが、最後までグイグイ惹きこむ原動力は「目的地」がハッキリしているからです。
最初に紹介した『アウトロー』は組長になるのが目的? ライバルの組を倒すのが目的? と、明確な目標がないまま、話が進んでいく。
続く『ミュート/MUTE』は消えた彼女を探すのだけど、居場所が不明なうえ、その他の登場人物が目指すゴールも加わってしまい、どうにも不明瞭になってしまいました。
それらに比べると、『アナイアレイション-全滅領域-』には謎の空間が発生した地点を目指すというゴールがあります。さまざまな要素がうまくまとまっているのには、そういう理由があるかもしれません。
とはいえ、これはあくまで筆者の意見。次に何を観るべきか迷っている読者がいるなら、注目作を見比べて、お気に入りの一本を見つけてみてはどうでしょうか?
<TEXT/林バウツキ泰人>