待機するだけで通報される“外国人UberEats配達員”の嘆き「不法滞在者なんかいない」
繁華街の飲食店の前でたむろする「ウーバー地蔵」。すっかり街の風物詩になったが、迷惑行為だとマスコミに責め立てられている。なかでも外国人に向けられた攻撃は苛烈だ。当事者たちはどう思っているのか聞いてみた。
帰国できない留学生たちに残された最後のバイトだった
コロナ禍で急激な成長を果たしたフードデリバリー業界。大手外食チェーン店の前で注文を待ちながら“地蔵”と化す配達員の姿も日常の風景となった。なかでも目立つのが外国人の姿だが、一部の日本人からは反感の対象となっている。都内在住の30代女性はこう話す。
「夕方、駅からの帰り道に、配達バッグを持った東南アジア系の外国人が5、6人いつもたむろしていて正直、怖い。先日も禁止されているのに歩道橋に上がるエレベーターに自転車にまたがったまま乗ってきた人もいた」
SNS上でも反発の声は広がっているが、なかには心ない排外主義的な投稿も散見される。
「どこの馬とも知れん外人が運んできたメシなんかよう食えるな」
「あいつら全員不法滞在だろ。警察はウーバー外国人に職質しろ」
街角のベトナム人配達員に話を聞いてみた
ウーバーイーツをめぐってはベトナム人を中心に不法就労の外国人配達員を非難する報道も散見されるが、本当のところはどうなのか。記者は、街角のベトナム人配達員に話を聞いてみた。
池袋駅西口のマクドナルド前で待機していたベトナム中部出身の男性(24歳)はこう話してくれた。
「語学留学生として来日し、4月に帰国予定だったけどコロナのせいで定期便がなくなった。でも特例で在留資格が6か月延長され、週28時間以内の就労も認められています。そんな事情から、都内のウーバーイーツの外国人配達員の3分の2はベトナム人で、ほとんどは留学生か元留学生です」
彼の隣にいた、ハノイ近郊出身という元留学生の男性(22歳)も「ネットで言われているような不法滞在者なんかいない。でも、路上に立っているだけで、すぐ警察に通報される」と話してくれた。さらにこう続ける。
「住民の中に、外国人のことが嫌いな人がいるんだ。この前も、俺の自転車が盗難品だって通報したらしく、警察が来て調べていったよ。日本の警察は真面目だから通報が入るたびに出動するよね」
実際、そう話しているそばから、2人組の警察官が「通報が入っているので自転車を移動してください」と注意しに来た。
記者がどこからの通報なのか尋ねると、彼らは「マクドナルドからです」と明かした。今年2月に公表された日本マクドナルドHDの2020年12月期連結決算では、9年ぶりに過去最高を更新した。その躍進の一端を担っているのが、彼ら配達員であるはずだが……。