20代が貯金を増やすのに「資産運用はオススメしません」
年功序列がもはや過去のことになってきたとはいえ、社会に出た途端に1000万円プレイヤーの高給取りになるのは難しい。
大半の20代は、金銭的にゆとりがないというのが実情だろう。だからこそ、今のうちからお金のことについてきちんと考えておきたい。それが、お金で困らない人生を過ごすための第一歩となる。
では、金銭的なゆとりはどうやって手に入れればいいのか? 自分の稼ぎが足りないなら、なけなしのお金に働いてもらうというテも考えられる。そう、株式や投資信託などに投資して、お金を運用するのだ。
ロボットアドバイザーを用いた資産運用で国内最大手の「ウェルスナビ株式会社」の柴山和久代表取締役CEOに話を聞きました。
お金がすぐほしいなら「投資」をするな!?
――すみません、手っ取り早くお金を増やしたいのですが、オススメはやはり投資でしょうか?
柴山和久(以下、柴山):いえ、必ずしもそうとは限りません。
――え、そうなんですか?
柴山:今の収入が少ないからお金を運用して増やそうとしても、それはおそらく解決策とはならないでしょう。なぜなら、仮に100万円の資金を5%の利回りで運用できたとしても、1年間で5万円しか増やせないからです。
――月々5万円ならまだしも、年間でその程度だとまさしく「焼け石に水」ですね……。
柴山:資産運用では、たっぷりと時間をかけて“複利効果”を十分に効かせることが大切です。“複利”とは、得られた利益を再び投資に回し、「利益が次の利益を生み出す」という好循環を発生させること。最初のうちは目に見えた効果が見られないものの、時間が経過すればするほど雪だるま式に資金が増えていくのです。
――なるほど、利益を増やしてそれを再投資する「複利」が重要なのですね。
柴山:100万円を5%で運用した場合も、前述したように1年後の利益は5万円にすぎません。しかし、その利益を再投資する“複利”の運用を続けていくと、10年後には160万円超、15年後には約208万円、20年後には約265万円、30年後には約432万円に増えます。
――ちなみに、利益を再投資しなかった場合はどうですか?
柴山:10年後が150万円、15年後が175万円、20年後が200万円、30年後が250万円という結果となります。運用が長期に及ぶほど、“複利効果”との差が際立ってくるわけです。
――たしかに同じ30年でもかなり利益に差が開きますね。
柴山:20年目を超えた付近から“複利効果”はいっそう顕著となって、急激にお金が増えていくようになります。若い世代は費やせる時間がたっぷりと残されていますから、有利だと言えます。ただし、成果が得られるのは30年先です。あくまで自分の老後のための備えとして位置づけたほうがよく、目先のお金を確保する手段とはなりえないでしょう。
――だとすれば、「お金が毎月不足気味で綱渡りの生活を送っている」という現状から抜け出すためには、いったいどうすればいいのでしょうか?
柴山:まずは、自分自身の知識やスキルを磨くことに対してお金を積極的に使うという“自己投資”を行ったほうがいいでしょう。実は、私が「ウェルスナビ」というサービスをローンチできたのも、“自己投資”が一助となっています。