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Amazonマーケットプレイスはなくなるかも?「お客様至上主義」の弊害

ビジネス

 1994年にジェフ・ベゾスが小さなガレージから始めた書籍通販は、インターネットが急速に普及したタイミングということもあって、急成長を遂げた。今や時価総額1.60兆ドル超(160兆円)の大企業に昇りつめたAmazonのことだ

アマゾン

画像はイメージです(以下同じ)

 日本にも2000年に上陸したが、当時はアメリカ同様に、書籍やCD、映像ソフトを主に扱う通販サイトであり、配送スピードも他社のECサイトと同様であった。この時点では、まだ楽天やヤフーショッピングのほうが対応は早かったように思える。

 そんなAmazonが、なぜこんなにも急成長を遂げたかというと、客と販売者の間のやり取りを徹底的に排除し、機械的な処理に徹したからである。今回は輸入業・輸出業にも携わる筆者が、Amazonを中心としたECプラットフォームのここ最近の動きを紹介してみよう。

キャンセルや返金が自由に

 購入者が返品や返金、キャンセルを求める場合、店側にメールや電話で連絡をとり、そこからのやり取りで、実際に返品できるかどうかを決めるという流れが一般的だった。だが、Amazonの場合は、そのやり取りに人件費や時間を割くことは無駄だという考えがあったため、それを排除した。

 これによって、客はいちいち店側に承諾をとらなくても、キャンセルや返金が自由となってしまった。健全なキャンセルや返品だけならよかったのだが、そこに人件費や時間を割いていないAmazonは、何が健全なのか、健全でないのかも判別できないまま、とにかく客に言うままに処理していった。

 とりあえず注文しておいて、必要なければキャンセルすることも自由。発送されてしまっても返品自由。酷い場合は、受取り拒否も許される(さすがに連続でしてしまうとアカウント停止された場合もある)。

 極端な例をあげると、DVDを購入して、2、3回観たものに対して「ノイズがあった、再生不良だった」などという理由で返品すると全額返金されていたのだ。これを悪用していた者も少なくない。

急成長の背景に小売りや企業の犠牲が

返品

 他社のECサイトや実店舗もそうだが、在庫がない商品や発売日前の商品だと、注文後に発注して、発送するわけで、そんな頻繁にキャンセルや返品を繰り返されてしまうと、小売りはもちろん、企業にとっても死活問題なのである。

 しかし、Amazonが自由な状態にしてしまったことで、この概念は飛び火してしまい、Amazon以外でも「キャンセル自由」という概念が浸透してしまったのだ。

「キャンセル自由」の概念は、客と店のやり取りの手間を負担に感じていた者にとっては、非常に使いやすいサービスであることは間違いなく、「お客様主義」と都合のよい捉え方がされている。しかし、急成長の背景には、小売りや企業の犠牲が伴っていたのだ

 Amazonがカスタマーサービスの機械化と並行して行っていたのが、商品数の徹底である。当時は株主にも、黒字化よりも商品数充実を徹底することで、数年は赤字になることを公表していたほどだ

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