高良健吾、20代半ばは「満たされなかった」。ようやく見つけた“仕事と生活の折り合い”
自分も、観ている人も置いていきたくない
――詳しくは書けませんが、本編には、仲間たちが顔を揃える劇場前のシーンが、2回登場します。2回目はとても感情的なシーンです。
高良:人数も結構いて、感情が高ぶるシーンというのは、みんなが高ぶっているから、どこか冷静でいなきゃと思っています。そういう意味ではかなり気を配ったシーンです。あそこが一番冷静だったかも。大切なシーンだからこそ、勘違いしないように。
――勘違いしないように?
高良:情熱、パッションだけで行くと、自分も、観ている人も、置いていってしまう気がするんです。僕はそれはイヤ。気持ちだけで行き過ぎたらもったいないシーンだと思いますし、そうしたシーンでは常に気を付けています。
評価されても満たされなかった
――高良さん自身は高校時代はどんなタイプでしたか?
高良:簡単に言うとリア充でした。真面目でも不良でもなく、すごく元気だった。
――すでに仕事も始められてましたよね。どちらも楽しんでいた?
高良:熊本から東京に通っていて、仕事より学校生活のほうが楽しんでいました。中高は特に楽しかったです。その頃の友達とは今でも仲がいいですし、東京に出てきている人もいるので、いまも会っています。
――地元が大好きだといつも語られていますが、東京に移られてからもとても順調にキャリアを積まれてきました。
高良:最初は「イヤだイヤだ」と言いながら仕事をしていました。特に20代半ばくらいは「苦しい」「辞めたい」「向いてない」という思いの真っ只中でしたね。
――そうなんですか!? その前から『蛇にピアス』(’08)を筆頭に高い評価を受けていましたが。
高良:評価では満たされなかったです。もちろんそれはすごく有難いことですし、人から認められたという嬉しさはあります。でも自分が自分を認めていないし、評価できていない。世間から何が評価されているのかわからない。それでも仕事はあって有難いのですが、仕事場に行くと憂鬱な気持ちになって……。