「おい新入社員、初体験の話しろ」憧れの部署は地獄のハラスメント気質だった
会社のブログで「初体験話」が暴露
「居酒屋には他のお客さんもいる中、自分は何をしているんだろうと泣きそうになりましたよ。また、最中について話してる最中、『細部はハッキリ描写しろ』と怒られたことを覚えています。この上司、急に編集者っぽいこと言って来るじゃん……っていう(笑)」
細部をハッキリ描写する捨て身の初体験トークで、なんとかその場はお開きに。ところが土井さんを待っていたのは、さらなるハラスメントでした。
「翌日、会社の名を冠した公式ブログに僕たちのことが書かれていたんです。それを書いたのは歓迎会にいた上司だったのですが、『下ネタがいける新人って好きだな~』みたいなタイトルで。すぐに消されたものの、初体験話の内容も一部暴露されていました」
今ではネタとして話せるようになった
あらゆる点においてひどい話ですが、当時の土井さんはなんと、嬉しかったといいます。
「少しでも上司に気に入られたのかと思い、誇らしかったですね。今思うと完全に洗脳されていましたよ。その後も圧の強い飲み会文化は続き、上司や先輩への対応にばかり頭を悩ませていました。その結果、脳のキャパを肝心の業務に充てることができず……大変でしたね」
そんな土井さんは数年後にこの会社を転職。現在は全くの別業種で働いています。
「憧れの業界だったので、うまくサバイブできなかった自分を責めた時期もありました。でも今は吹っ切れました。この会社での体験を話すと、みんな面白がってくれるので、むしろ『おいしいネタをいただいたな~』くらいの気持ちでいますよ」
若者の飲み会離れが進んでいるのも、酒の勢いで下ネタを強要する“昭和気質な飲み会”が幾分かは関係しているのかもしれません。現在はコロナ下で歓迎会等は行われないでしょうが、他のシチュエーションで彼のような被害を受けた場合、抱え込まずに周囲に相談してください。
<取材・文/浅原浩 イラスト/カツオ(@TAMATAMA_GOLDEN)>