東大生が“浪人生活”で得た最強メンタル「失敗を恥ずかしいと思わなくなった」
遅れをとることは、悪いことではない
杉山:ただ勉強を積み重ねて漠然とやっているだけで受かる人はいませんね。僕は“監獄予備校”とも呼ばれるバリバリ勉強をやっているような厳しいところに3年いて、勉強量だけだったらかなり量をこなしてるんですけど、自分のダメなところに気づくこともなく、長時間量だけこなして勉強をやってきました。その結果、滑り止めの大学だけ受かって、東大は落ち続けるみたいなことを繰り返してきました。
仮面浪人だった最後の年は、自分に何が足りないかを考える時間をとって、今までの勉強の仕方を完全に変えて、必要な勉強以外は全部捨てて臨みました。勉強時間を1日2時間ぐらいまで極端に減らしたんですけど、その結果、今までが何だっただろうと思うくらい成績が伸びましたね。
――勉強時間を減らして成績が伸びたとは驚きです。
杉山:僕は浪人していた時期を自分に何ができてできないのかを見つめ直す「意思の矯正期間」として捉えています。言い方を変えるとマイナスをゼロにするための時間というか。ダメなところを見直さないと、たとえ1万時間勉強しても受からないし、それができている人が現役でも受かっている。今年やっと合格して、常々思うところです。
――大学浪人に限らず、人生のあらゆる場面で同世代と遅れをとる場面はあります。そのあたりをどう捉えていますか?
安田:周りに比べて遅れをとるのは別に悪いことだと思っていなくて、むしろその分、先ほども言ってたような、自分を見つめ直したり、進路について人一倍考えられる時期とも考えられます。必ずしも悪いことばかりとは限らないですよね。
サークルのなかには他大学の医学部を目指してたけど、工学部に行きたいと思って東大に入り直したという人もいます。当初の目標が一時的な感情だったのかどうか、あとから気づくこともそうだし、本当は何がやりたいのか時間が経たないと見えてこない場合も多いと思うんです。
東大多浪生の結婚観は?
――恋愛と結婚、家庭を持つことについてはどのように考えていますか。
安田:結婚はいつかしたいとは思っています。でも遅くなる気もするし、適切なタイミングが来たらしたいですね。それも人によって違うと思うし、例えば、収入が30代から安定してくる人もいれば、40代で安定してくる人もいる。世間一般がって気にするのは馬鹿げているというか、本質的じゃないと思います。本人にとって適切な時期に適切な相手とすればいいだけだと思います。
浦:同意見です。世間一般の意見に対して聞く耳持たなすぎるのも問題かもしれませんけど、自分には自分に合ったタイミングというのがあると思いますし、現役ではなく多浪というのが自分に合っていたから、今の私たちがある。多分それと同じだと思うんですよね。適切な時期に適切な相手とめぐり合っていれば、それでいいわけですし。焦ったりしても上手くいくようには思えないので、私の場合(笑)。自分に合ったタイミングが一番大切だと思いますね。
安田:まだ学生ではあるので、結婚と聞いても実感がわかないし、想像するしかないと付け加えておきます(笑)。