発達障害の私がやっているライフハック。「休憩」で仕事モードのON・OFFを
5月8日、スペースXの代表であるイーロン・マスクが、自身が自閉スペクトラム症(アスペルガー症候群:ASD)であることを、アメリカのバラエティ番組『サタデー・ナイト・ライブ』の中で初めて公表し、話題になりました。
強いこだわりを持ち、空気を読むのが苦手で対人関係に問題を生みがち……という特性を持つASDは、周囲から何かとマイナスに捉えられてしまうことも多いです。しかし、これに対して「発達障害者流のライフハックを健常者も活用すれば、それをまた強みにできる」と語るのが、発達障害の当事者である銀河さん(@galaxy_career)です。
たとえば、発達障害の人は臨機応変な対応が苦手な傾向にありますが、一度、状況と対応策をパターン化してしまえば、ミスをなくして高いパフォーマンスを上げることも可能。また、「強いこだわりを活かして、ユニークなアイディアを生み出す人も多い」と語ります。
そこで今回は、発達障害当事者であり、さまざまな発達障害の人に向けたコーチングを行っている銀河さんが実践している「発達障害を強みに変えるための戦略」の一部を紹介します。
※本記事は『「こだわりさん」が強みを活かして働けるようになる本』から再編集し、抜粋しました。
事務作業すら徹底的にスケジュール化する
私も含めて、発達障害を持つ“こだわりさん”はマルチタスクが大の苦手という人が多く、その一方で、ひとつの業務に対しては、多くの人が音をあげる細かな作業でも、丁寧かつ地道に取り組むことができます。
一点集中に打ち込める環境さえつくれれば、ハイパフォーマンスを実現できるのも私たちの強み。そのため、“時間を分けて管理する”という意識を持てば、発達障害という武器を最大限に活かすことができます。
そこで重要なのが、集中すべき仕事のスケジュールをあらかじめ押さえることです。現在、私が“時間の管理”に使っている「Googleカレンダー」では、打ち合わせや会議など「人との約束」の予定だけではなく、「△△社へのプレゼン資料作成」「●●部長に向けた書類作成」「ブログに載せる原稿作成」などの事務作業の時間も確保しています。
何かの仕事が入った時点で、そのままカレンダーのスケジュールの中に組み込んでしまうからです。
時間は「所要時間の1.5倍」が目安
なぜかというと、多くの人はTODOリストを作成するものの、そのTODOにどのくらいの時間がかかるのか、いつやるのかを厳密に考えていないケースが多いです。
「1週間後が締め切りだから、ここまでのどこかでやろう」ではなくて、「1週間後が締め切りだから、その3日前のこの日のこの時間にやろう」というくらいまで厳密に落とし込んでおかないと、漏れや抜けが発生します。だから、タスクが入った時点で、「この日のこの時間にやろう!」と決めるのが良いです。
なお、事務作業をスケジュールに組み込む際は、「自分が考える所要時間の1.5倍」を確保するのがポイントです。例えば、プレゼン資料の作成に2時間はかかるなら、1.5倍の3時間分をスケジュール上で確保しましょう。人と会う打ち合わせなどの場合は「1時間」と決まっていれば 1時間で済みますが、自分で進める事務作業はその日の体調や集中力にも左右されます。
だから、未来の自分に過度な期待をせず、ちょっと時間にバッファを持たせておくことが大切なのです