「俺たちの命の値段は5000円」コロナ病床の清掃業者、悲痛な叫び
政府には清掃業者側への援助も
今後、変異株の感染がさらに拡大し、感染者数がピーク時と同等になれば、藤田さんのコロナ病床の清掃も再び1か月50部屋ペース、それ以上になることも考えられる。しかも変異株は、これまでよりも感染力が強い。当然、清掃中の感染リスクも高まる。
「変異株の感染者の病床はまだ担当したことがないけど、そのパターンが増えてきたらもっと怖いよね。せめて、金銭的な補償だけはしてもらいたい」
厚生労働省は「医療機関・薬局等における感染拡大防止等支援事業」として、感染拡大防止対策や診療体制確保などを行う医療機関に対して、補助金の活用を推進。補助の対象には、清掃の委託も含まれている。これによって病院は、清掃業務を外部に委託しやすくなっている。
しかし藤田さんの現場のように、病院側が清掃業者に適正な対価を支払っていないケースも現実にはある。これでは清掃業者が、業務の受託に二の足を踏んでしまう。
委託先となる清掃業者が仕事を受けなければ、看護師や医療スタッフの業務負担が減らず、医療現場のひっ迫が解消されることはない。病院側への援助だけではなく、清掃業者側への援助も政府には求められている。
<取材・文/新妻 翔>