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韓国・中国人がアカデミー賞で躍進。日本の映画界が負けている深刻理由

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クリエイターの自助努力に頼るのはもう限界?

パラサイト

昨年アカデミー賞を受賞した『パラサイト 半地下の家族』ポン・ジュノ監督ら Han Jin-won, Bong Joon-ho ©Starstock/Dreamstime.com

 日本映画の問題点というと、製作のための助成金の少なさなどが話題になるが、作った後収益を回収するシステムが弱いということも問題ではないか。大手の映画会社が作る原作ものはテレビ等のメディアと連動し易いことから認知度が高く、収益が上がりやすいが、良作であってもオリジナルの脚本の作品となると、作品の周知自体が難しい。

 よって、海外で評価されるような作品でも、国内のセールスは振るわないという現実があった。そうであるならば、日本での興行成績に関係なく、最初から海外展開をできる体制を整えるべきなのではないか。そうした工夫をしない限り、アカデミー賞の賞レースに乗るような実写映画を世に送り出すことは難しいだろう。

 クリエイターの自助努力に頼る体制をどこまで続けるのか。コロナ禍での助成金によるサポートや映画館に対する休業要請が話題になっているが、「人」と「作品」をどのように育てるかについても考えるべき時が来ていると見るべきであろう。

<TEXT/合同会社インディペンデントフィルム代表社員 熊野雅恵>

【参考文献】
平成24年度「諸外国の文化予算に関する調査報告書」(平成28年度一部改訂)

ライター、合同会社インディペンデントフィルム代表社員。阪南大学経済学部非常勤講師、行政書士。早稲田大学法学部卒業。行政書士としてクリエイターや起業家のサポートをする傍ら、映画、電子書籍製作にも従事

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