NetflixやHuluに対抗か。U-NEXT、海外ドラマ「独占配信契約」の本気度
ワーナーメディアが運営するアメリカのケーブルテレビ局HBO。NetflixやHuluなどといったものに便乗するかたちで、ワーナーも2016年に動画配信サービス「HBO Now」を開始した。
このサービスは、オリジナル作品を提供するのではなく、あくまで『ウエストワールド』『トゥルーブラッド』といったHBOのドラマやワーナー系列のドラマ、映画など既存の作品を配信するものであった。
既存の作品だけを扱ったものでは、他社には太刀打ちできないと感じていたワーナーは、新たにオリジナル作品の製作を積極的に行うこととする意味でも「HBO Max」として再出発を目指した。
目玉企画は多いが日本では…
「スーパーマン」「バットマン」シリーズでお馴染みのDCコミックスの親会社でもあるワーナーでは、マーベルのように使用権利が飛び散っていないため、DCコミックスの新作映画、スピンオフドラマが非常に作りやすい環境にあること。
また『グレムリン』『ハリー・ポッター』などのワーナーが権利をもつ作品のシリーズ化、その他にもHBOの代表的なドラマ『ゴシップガール』『セックス・アンド・ザ・シティ』のリブートという点では、目玉となる企画は多い。
だが、日本においてのサービス開始は現時点でアナウンスされておらず、2021年6月にラテンアメリカで開始されるとはいわれているものの、他国の展開がいまだに具体的に発表されていない。
そんな中で3月に衝撃的なニュースが飛び込んできた。それはUSEN-NEXTホールディングス傘下の動画配信サービス「U-NEXT(ユーネクスト)」がHBOとHBO Max作品の独占配信契約が締結したというもの。
独占的に扱えるわけではない
実はこのニュース、読み取り方によっては、U-NEXTのみが独占的にHBO Maxの作品を扱うことができると勘違いしがちなのだが、あくまで動画配信サービスの中での独占配信権であり、U-NEXTこそHBO Maxの受け皿というのは、まだ気が早い。
そもそものHBO Maxオリジナル作品がまだまだ少ないということもあるが、現在の時点(執筆2021年4月27日)で視聴が可能になるHBO Max作品は実はリドリー・スコット製作総指揮『レイズド・バイ・ウルブス/神なき惑星』のみである。
HBO Maxのオリジナル作品第1弾であった、アナ・ケンドリック主演ドラマ『LOVE LIFE』はCSの「スーパードラマTV!」で、すでに独占放送され、HBO Maxの限定シリーズとして復活した『アドベンチャー・タイム:遥か遠い世界で』もカートゥーンネットワークで5月1日の放送予定。WOWOWとHBOの共同製作『トウキョウ・バイス』は、WOWOWでの放送が決定している。
劇場公開が見送られ、HBO Maxスルーとなった『魔女がいっぱい』は、日本では劇場公開され、日本での展開が期待されていた『ジャスティス・リーグ:ザック・スナイダーカット』は初夏にデジタル配信&ブルーレイのリリースが決定しているなど、作品によって提供形態が違っている。