東京都を提訴したグローバルダイニング、コロナ前から赤字続きだった
グローバルダイニング代表・長谷川氏の経歴
また、グローバルダイニングの場合、代表取締役の長谷川耕造氏について触れる必要があるでしょう。今回の訴訟においても公式サイトおよび、記者会見で積極的に発信しています。
長谷川氏は1950年に横浜市で生まれ、1971年に早稲田大学を中退し、欧州を放浪。その2年後の1973年に、グローバルダイニングの前身である有限会社長谷川実業を設立し、喫茶店「北欧館」をオープンしました。
続いて、1970年~1990年代にかけて、「カフェ ラ・ボエム」「ゼスト」「モンスーンカフェ」といった主だった形態のレストランをオープンし、急速に業容を拡大しました。その成果が実り、1999年12月には東証第2部への上場も果たします。
2006年12月期までは映画『キル・ビル』の舞台のモデルになったと言われる「権八」が店舗数を拡大するなど、比較的好調に推移していたものの、それ以降の業績は先述した通り、国内外ともに長い苦境に立たされることになり、今に至ります(公式サイトより筆者要約)。
グローバルダイニング「ホワイト/ブラック度」判定
グローバルダイニング:★★☆☆☆
新型コロナウイルス対応関連の命令・措置に対して妥当性を問う初の訴訟を行い、注目が集まった企業です。この試みそのものは興味深いですが、グローバルダイニング社の業績を見ると決して手放しでは賞賛できないことが判明しました。
今回、グローバルダイニング社の業績が著しく悪化しているのは単純に新型コロナウイルス関連の命令・措置によるものではなく、「それ以前」から息も絶え絶えで運営されていて、新型コロナウイルス関連による営業自粛が、最後の“致命傷”となってしまったというのが実情だったのです。
それなりの規模の飲食チェーン店の場合、運営企業名を聞けば「ああ、あの店のところか」と商品と味が具体的にイメージできるのですが、グローバルダイニング社の場合は思い出すのにやや時間がかかってしまいました。同社が「継続企業の前提に関する事項の注記」を付記するレベルの苦境に至った原因もここにあるのではないかと個人的には思います。
企業は自身が営む事業で顧客にメリットを提供することで、はじめて存在が認められます。見た目やパフォーマンスよりも、店舗の提供している価値(つまり料理やサービス)についての見直しが必要なのではないでしょうか。したがって、今回は最終的な評価を★2としました。
<TEXT/アラートさん(@blackc_alert)>