自分の意見が伝えられなかった過去

――デビューして10年ほどですが、当初と今とで仕事への姿勢に変化はありますか？

中村：お芝居を始めた当初は、まだ子どもだったこともあって、自分の意見を伝えることができませんでした。それで結局、思うように動けず、納得できないこともあって。年齢も、現場も重ねるうちに、コミュニケーションがとても大切だと実感していきました。

　伝えたいことや、そのときに分からないと感じたことを流してしまうのは、作品に対して申し訳ないと思うようになり、気になることがあったら人に聞いたり、意見を抑え込んだりせずに、その時々に解決するようにしていきました。

――実践してみていかがでしたか？

中村：作品に映る自分の姿が、いい方向に変化していると感じています。いい作品にしたいという思いがあるからこそ、監督とお話したり、周囲の方の意見を聞いたりするようになりました。そのことによって、次への表現に繋がると実感しています。

「怪演女優」と呼ばれること

中村ゆりか 1st写真集『Over the moon』

――ご自身はマイペースでめんどくさがりだそうですが、このところ、世間では「怪演女優」と呼ばれることもあります。

中村：そういうふうに見られているんだぁと思いました（笑）。私としては、演じるキャラクターのバックボーンや、受けて来た傷などと向き合ってお芝居しています。細やかな感情の流れがあるうえで、作品の映像として形になるのは、目立った表面的な部分です。悪女や、やっかいな女性という立ち回りだったとしても、私には、その子の奥深い気持ちも感じられています。

　悪女が似合っていたと言われるのも有難いことですが、それとは別にその役ときちんと向き合えたという結果だと、自分としては感じています。

――そうしたバックボーンも感じ取って、そのうえで中村さんのお芝居が良かった、印象的だったという人も多いのでは。

中村：そうですね。すごく有難いです。