「ラップをやめたら自分には何もない」28歳、異形のラッパーの11年
――輪入道さんの書く詞、発するライムには、熱い反骨精神のようなものがみなぎっているイメージがあります。そのマグマのような言葉の源には、何があるのでしょうか?
輪入道:大人から「お前の家、頭おかしいよね」みたいに言われることが多くて。自分の野蛮な行動やデリカシーのない言動のせいで親のことをアレコレ言われて、悔しい気持ちを胸に秘めていました。
自分が劣っているという意識も強くて、成長するに連れてどんどんひねくれていきましたね。だからこそ「見てろ」と。『叩き上げ』の歌詞にある「ヤツのほうが上だなんて100も承知なのさ ひっくり返る瞬間を見てみたくないか」みたいなモチベーションですね。
――作詞の際に心がけていることはありますか?
輪入道:受け手の共感を求めて書かないようにしていますかね、いったん書いたらほとんど忘れちゃうんですけど(笑)。もちろん結果的に気に入ってもらえるのはめちゃくちゃ嬉しいんですけど、「そうでしょう、みんな?」じゃなくて「自分はこうだ!」という気持ちで書いています。
――「叩き上げ」や「俺はやる」などを聴いていると、聴き手に伝えるという以上に、輪入道さんが自分で自分に言い聞かせているような印象を受けます。
輪入道:それはありますね。『俺はやる』にある「やりたい やらなくちゃそれはカス」というところなんかは完全に自分に向けて言ってます。
フリースタイルでは「相手を否定しない」
――フリースタイルバトルでのライミングで心がけていることは?
輪入道:矛盾してしまうかもしれませんが、「相手を否定しない」ということです。自分はもともと性格的に言いすぎてしまうので、そこを意識してます。バトルって結局、互いがギリギリになればなるほど本当の良さが出てる。
それが上手くいったときが、ベストバウトになるんだと思います。線引きのないフィールドなので最後は自分で決めるしかないんですけど、言葉の勢いで思ってもいないことを言っちゃったところで、どっちも得しないですからね。
――「フリースタイルダンジョン」でも、そのようなスタンスに見えます。
輪入道:「2代目モンスターとしての意気込みは?」みたいに聞かれたときに「どうせみんなが強いから俺は優しくいきます」みたいに言ったこともあって(笑)。まぁ、優しいだけではマズイですが当然、意識してますね。
※インタビューは後編に続きます
<取材・文/浅原浩 撮影/街田和由 撮影協力/モンゴリアン ドランク ゴールデン街店>
【輪入道】
1990年、千葉県出身。2007年頃からラッパー活動を開始。’13年主宰レーベル「GARAGE MUSIC JAPAN」を立ち上げ、2枚のアルバム『片割れ』『左回りの時計』をリリース。2017年8月には「フリースタイルダンジョン」2代目モンスターとして出演も話題に