中国人が「北海道、対馬」で土地を買う背景。国会で法案提出の動きも
2021年になっても日本の周辺では、北朝鮮のミサイルや核、中国の海洋進出など、多くの安全保障上の懸念がある。従来は、陸・海・空にとどまっていたが、技術革新によってサイバー空間や宇宙空間にも広がっている。中国や北朝鮮はサイバー部隊を積極的に育成しており、政府や自衛隊だけでなく、日本の民間企業にとっても大きな脅威となるだろう。
土地買収について制限が強化
そういった背景がありつつも、日本はより身近な安全保障を重視し、それに対する制限を設けようとしている。自民党は2月18日、自衛隊基地や米軍基地、原子力発電所など、国の安全保障上重要な区域周辺の外国資本、外国人による土地買収について制限を強化する「重要土地等調査法案」を了承した。
今国会に提出される予定の同法案では、自衛隊や海上保安庁の基地、米軍基地や国際空港、原子力発電所などの周辺1キロ以内を「注視区域」、自衛隊の司令部や国境離島(対馬や与那国島など)といった、特に重要な区域を「特別注視区域」とそれぞれ定める。
そして国が必要に応じて建物や土地の所有権者や賃貸者の名前や住所、国籍や使用状況などについて調査できるようになる。
外国では「当たり前」の話
また、特別注視区域では、所有権変更の際、買い手と売り手の双方に名前や使用目的の届け出が義務付けられる。安全保障上の問題があれば、国は売り手や買い手に土地・建物の売買で中止を要請することができ、従わない場合には罰則を科すことができるという。
筆者は長年仕事の調査で多くの国々を訪問しているが、基本的に現地の軍隊や警察官に向かってスマートフォンで写真を撮ることは御法度であるだけでなく、場合によっては不当な拘束に繋がる恐れがあると考える。
タイで外国人が警備に当たっている兵士たちを動画で撮影していた際、スマートフォンを取り上げられ、動画を消すよう怒られていた姿もよく覚えている。とはいえ、それは外国では当たり前のようなもので、軍隊基地や原発など安全保障上の重要な場所では、現地人でさえも簡単に土地を買えないケースは多い。