話題の音声SNS「Clubhouse」面白いけど、ネットカーストが透けて見える/常見陽平
2020年1月下旬、突如として音声SNSの「Clubhouse」のブームが起こった。完全招待制でコミュニケーションは音声のみ。アプリ内の「room」と呼ばれる空間で、さまざまなユーザー同士の会話が繰り広げられている。筆者も知人から招待してもらい使い始めたが、実際にふれてみると、いくつかの利点や課題がみえてきた。
ネットの新しさと懐かしさが共存
Clubhouseを触ってみて、率直に浮かんだのは「新しくて古いSNS」という感想だ。かつての「mixi」のように完全招待制で、やりとりは音声限定でテキストはいっさい使えない。
ユーザー同士の会話はログが残らず、どこまで守るかは別として、少なくとも規約ではメモも含めて内容を記録してはいけないことになっている。何気なくつぶやいた言葉が見知らぬ誰かに拾われる可能性がある現代からすれば、色々な制限が課せられているのは、むしろ新しいと思えた。
一方で、日本で騒がれ始めた当初は、ベータ版であるのも関係しているのかトラフィックが急に増えたことでトラブルもあった。テスラの創業者であるイーロン・マスク氏がClubhouse上に現れるや否やサーバーが不安定に。
街頭演説に立ち寄ったような感覚
実際、筆者もモデレーター(進行役)を務めているときに、何度かroomからはじかれる経験をした。黎明期だからこその不安定さは、2000年代のインターネットのような懐かしさすらおぼえた。
現状、目立つのは発言力のある著名人やインフルエンサーによるroomで、ステイホーム下で一気に注目を集めた空間は、さながらフラッと街頭演説に立ち寄ったような感覚になる。
何かしらの世界でトップに立った人びとの話を直に聴けるのも、テキストベースのSNSとは異なる、Clubhouseならではの刺激といえそうだ。