磯村勇斗、“ヤクザ映画”共演の綾野剛に改めて感じた「本当に怪物だと」
役を愛してほしいとは思わない
――磯村さんは、演じる役柄ごとに全く違った顔を見せて、時にカメレオン俳優と称されることもありますが、ご自身としてはどう感じていますか?
磯村:スルーです(笑)。僕は特に気にしていませんし、気にしすぎもよくないと思います。いろいろ言っていただくのは有難いことですし、嬉しいことですが、そこに流されてしまうと、自分の芯がブレる。僕はただ俳優として役に向かっているだけなので、特に変化を付けたいとも考えていません。運よく変わったキャラとか、面白い魅力ある登場人物に出会えているから、そう言っていただけるのだと思います。
――演じた役柄を愛してもらいたいとは考えますか?
磯村:それは全く考えません。愛されたいと思うと、変な下心が出てつまらなくなっちゃうと思うので、ただまっすぐに役に向かうだけです。
本作での挑戦で、芝居への感度が変わった
――さて、本作の出演が決まった際に、「嬉しさと同時に壁が立ちはだかる感覚だった」とコメントしていました。壁は超えられました?
磯村:今回、ひとつの挑戦でした。撮影から1年以上が経ちますが、壁を超えられたかは微妙です。ただ、自分の体のなかでは違った感覚が芽生えています。お芝居をする感覚なので、伝えるのは難しいですが。感度が変わったというか。
――翼は賢治に大きな影響を受けています。磯村さん自身がこれまでに大きな影響を受けた人や言葉はありますか?
磯村:たくさんありますけど。たとえば朝ドラ『ひよっこ』のときの佐々木蔵之介さんや宮本信子さんの立ち姿は、今でも心に残っています。言うまでもなくお芝居も素晴らしいですが、ベテランなのに低姿勢で謙虚で。そうした姿には影響をうけましたし、学びがありました。