「頑張ってもやる気が出ない」ときは、無理せず“4つの考え方”で対処
過去を振り返り「やる気スイッチ」を探す
仕事のモチベーションを上げるために、桑原氏がいつも若手ビジネスパーソンにレクチャーしている内容を聞いた。
「一般的に、モチベーションは外部環境に左右されやすいと捉えられがちです。やっている仕事にやりがいがあるか、一緒に働いている人がいい人かなどなど……。とはいえ外部環境は自分ではコントロールしにくいもの。それならば、どのような環境でも自分で自分のモチベーションを上げられるといいですよね。そのためには、『自分を知る』ことが第一歩になります。環境は変えられないけれども、その環境で『自分らしさを生かす』アプローチです」
具体的には、自分はどういうときにやる気が上がるのか、どういうやり方なら自然体で楽にできるのかを考えてみることがよさそうだ。
「子ども時代を含めた過去の経験を振り返り、よく出てくるものがあれば、それが自分の『やる気スイッチ』です。自分のスイッチが分かれば、今の環境でその要素がどこかにないか見つけようとしたり、そのやり方でやってみたりという工夫がとれるようになります。
疑問に思ったら素直に聞いてみる
つまり、目の前の仕事や職場のモチベーションを上げることは難しいが、自分らしさを生かした行動をとり続けてみることで、結果的に仕事のやりがいを感じるようになるそうだ。
「もう1つは、目の前の仕事に関して、意味を勝手に決めつけずに、素直に聞いてみたり、まずやってみたりしてから判断することもおすすめしたいです。例えば『数字を追いかけることにはどんな意味があるのか』を上司に聞いてみる。本人には見えていなくても、数字を渡す側には『これをやることが○○につながる』という理由や経験則があるものです。それを聞いて意義を感じられるのが一番ですが、なかには『それは上司の世代の話であって、今は違う』と納得できないものもあるでしょう。
それでもあえて、やる前から否定せず、一度はのっかってみることはやってみても良いと思います。そこから『意外とできた』『やってみると発見があった』という経験は、今後自分の世界に閉じず、自分の中の新しい可能性を開いていく力につながり、人生を通じた、とても大きな財産になると思います」
休み明けやテレワーク中に仕事のモチベーションが上がらないという場合には、ぜひ参考にしてみよう。そして仕事そのもののモチベーションを上げる意味で、この機会に「自分を知る」ことを実践してみるのも良さそうだ。
<取材・文/一ノ瀬聡子>
【桑原正義】
株式会社リクルートマネジメントソリューションズ主任研究員。1992年4月人事測定研究所(現リクルートマネジメントソリューションズ)入社。2015年より現職。新人若手育成を専門領域とし、これからの時代の学習や人材育成の研究開発に取り組んでいる。NPO法人青春基地(プロボノ)。立教大学経営学部兼任講師