モデルから人気女優に、池田エライザ「女優という仕事を好きになった瞬間」
――ご自身のことではないんですね(苦笑)。
池田:生きていくうえで、やれることはたくさんあると思うけれど、でも死んじゃったら仕方ないから。幽霊になるなら、亡くなってから楽しめることを考えるかな。人に怖がられるのは嫌なので、出ていくタイプの幽霊はイヤです。
キャーとか言われたら、しゅーんって傷ついちゃう。うっかり写真に映るとかも頑張って避けたいです。画角は分かるタイプなので(笑)。
ただ、この映画に出たことで、幽霊ももとは私たちと同じように生きていた人なんだと思うと、「こわーい」って言っちゃったら、それを聞いている幽霊が傷つくかもと想像したり、幽霊にもモラルがあるんじゃないだろうかと思うようになりました。それだけ、『ルームロンダリング』にはヒューマニズム溢れる幽霊が出てくるので(笑)。
想像できないことへの怖さが楽しみに変わった
――モデルからのスタートですが、今は女優業が軸ですね。女優としての成長は感じますか?
池田:成長は分からないです。ただ、楽しむのが上手になったなと思います。『みんな!エスパーだよ!』のときは、毎日胃が痛かったです。自分が想像しきれないところが全部怖かった時期から、いまは、自分が想像できないことに触れると、その先、また自分が豊かになれるかもしれないという可能性を楽しみにできるようになった。
うまく波に乗れるときもあれば乗れないときもあるけれど、もう1回、もう1回、もっといい波をって。楽しんで挑んでいける感じは、数年前の自分にはなかったものだと思います。
――楽しめるようになってきたということですが、20代のうちにやっておきたいことはありますか?
池田:いまやれることをやったほうがいいですよね。ただやれることというのも、時間には限りがあるので、ブラッシュアップするようにしています。たとえば旅に出るとか。
私、怖くて海外に行けなかったんですが、この前、初めてちゃんと旅をしたんです。そういうチャレンジは大切だと思っています。
――女優としてやっていきたいと思った瞬間、先輩やスタッフさんから受けた影響などはありますか?
池田:気づいたら毎日がお芝居の現場になっていたんです。毎日、「あー、幸せだな、向いてるな」と思える仕事に巡り合えました。この仕事を好きになったスピードと、フィールドがお芝居になっていったスピードが同じ速度で進んだと感じています。
――この仕事が好きだと思えるのは、感覚的なものですか?
池田:日々、新しい人たちと出会って、映画などに入っているときは、同じ作品を作る仲間として腹を割って話すことができる。プロのスタッフさんたちと意見を出し合える。幸せだなと思います。裏方なんてないんだなって、日々感じます。
――具体的な影響を受けた方は誰かいますか?
池田:廣木隆一監督が、「エライザはハーフだってことを気にしなくていいんだよ」とおっしゃってくれたり、園子温監督が、オーディションで散々な態度だったにも関わらず、すごくプッシュしてくださったり。いろいろありますね。
監督たちがレンズ越しに私を見透かしてくれていることが、油断もできないですけど、でも嬉しい。それから17歳のときは、インプットしたものをアウトプットできなくてモヤモヤしていたのに、今はカラカラになるくらいアウトプットし続けることができる。幸せです。
――それは女優という職業を得たからこそ。
池田:できることだと思います。