「コロナで生と死が希薄に」坊主バー店主が語る、悩みとの向き合い方
1人の宗教者としてできる限りのことをする
――生と死の尊厳が希薄になると、どういった悪いことが考えられますか。
源光:生きることと死ぬことが軽くなるんです。こうなると、例えば他者の命を踏みにじるような殺人事件も増えてしまうかもしれません。生と死の尊厳のためにも冠婚葬祭は重要な意味を持ちます。
「新しい生活様式」という言葉があるように、この1年で生活レベルではコロナ禍への適応がある程度はできるようになったと言えるかもしれません。ただ、生活とは少し離れた場所での変化の社会的影響が今後出てしまう可能性があるかもしれません。
それが良い種類の変化だったら何も言うことはないですが、悪い変化の場合はそうもいきません。社会が悪い方向に行かないように、1人の宗教者として、できる限りのことはしたいと思います。
<取材・文/菅谷圭祐 撮影/荒熊流星>
【釈源光】
浄土真宗・真宗大谷派瑞興寺僧侶。1953年神戸市生まれ。パリ大留学より帰国後、JAICA、政治家秘書、広告代理店、スーパーゼネコンなど数々の転職を経て、50代を目前にして仏門に入る。2014年より東京・中野「ワールド会館」で坊主バーの経営者も務める