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「コロナで生と死が希薄に」坊主バー店主が語る、悩みとの向き合い方

暮らし

悪い悩み方をしない方法

坊主

――そのうえで良い悩み方と悪い悩み方があるかと思います。例えば悩んだ末に、自殺してしまう人などもいます。

源光:良い悩み方をすることは重要です。ケースバイケースではありますが、とにかくあがくことが大事です。例えば、思いっきり寝るとかでもいいんですよ。もしくは、美味いものを食いまくるとか、酒を飲みまくるとかでもいいんです。

――あがくというと、何か建設的な行動をしないといけないと思っていましたが、必ずしも建設的でなくてもいいんですね。

源光:悩んでいるときって余裕ないですからね。空回りでもいいんです、とにかくあがいてみること。そうすると意外に打開策が見つかったりすることもあります。最もよくないのは、一人で悩みを抱えてじっとしていることです。

 その点で、コロナは悩んでいる人をさらに厳しい状況に追い込んでいるかもしれません。坊主バーの営業で言うと、国の緊急事態宣言後、都の自粛要請を受けて4月から8月はほぼ全休していました。その間、ネットで悩み相談を受けてはいましたが、直接お店でお悩みを聞ける時と比べると数は多くはありませんでした。悩み相談は「密」になるので、コロナの影響は大きいです。

コロナで生と死の尊厳が希薄になる

坊主

――外出や人に会うのが困難な場合に悩みを抱えている人はどうすればよいでしょうか。

源光:悩みと対座することができれば理想です。日記でも、詩でも、小説でも何でもいいので、文章にして表現するんです。文章にすると悩みの交通整理ができるんですよ。旅行や読書や運動なども、悩みと上手く付き合う上でよく勧めるものです。

 その上で、悪い悩み方をしないことは重要です。先ほども話しましたが、坊主バーではメールでの相談も受け付けています。悩みを抱えているものの、何かしらの事情でお店に来られない方はメールでも大丈夫ですのでご相談ください。

――今年1年を振り返ってみると、コロナという昨年までは全く想像もしていなかった厄災の影響を大きく受けた年となりました。源光さん自身、コロナ禍をどのように思っていますか。

源光:ひとりの坊さんとして、通夜や告別式を行わずにお亡くなりになられた場所から火葬場に直接搬送する直葬が増えていることは気になっています。

 葬儀で一番お金がかかるのがお坊さんへのお布施なんです。これは定価がなく、地域相場となっています。結構な値段を取っている地域も少なくありません。この坊さんへのお布施を払うのが困難で、コロナを理由に直葬にする人が増えているのだと思います。

 私は冠婚葬祭がなくなることはいいことだは思っていません。葬式をちゃんとあげないようになると死の尊厳が希薄化します。そして、それは生の尊厳が希薄化することにもなります。

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