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UberEatsで働く学生を見て感じた、スキマ時間の活用「ギグワーク」/常見陽平

ビジネス

モノとしてのハンコか押印のプロセスか

ハンコ

 ギグワークが浸透しつつある一方で、菅義偉内閣の河野太郎行政改革担当大臣が掲げた、行政機関の「ハンコレス化」も取り上げておきたいトピックだ

 コロナ禍の緊急事態宣言下では「押印のために出社するべきか否か」が議論されていたのは記憶に新しいが、果たして問題の根本がハンコというモノ自体にあるのか押印のプロセス自体を差しているのかを、きちんと見極める必要もある。

 河野大臣が「正当な理由がない行政手続きについては、『はんこをやめろ』ということを押し通そうと思う」と発言したのは、菅内閣が発足してから約1週間半後にあたる9月25日だった。

 以降、全国的にもいち早く、今年の9月末で役所へ提出する申請書類から押印を廃止した福岡市の事例などが、メディアでも広く取り上げられていた。

 不必要な慣例であれば、そのルールを壊す人間も必要。そういった意味では、河野大臣がある種のヒール役として、声高に宣言したことは評価したい。

ペーパーレス化で偶発性が減る懸念

 コロナ禍を契機として、企業レベルでも押印をやめて電子認証に切り替えたところがある。ただ、それはあくまでも外側からの見方であり、問題の本質はハンコそのものではなく、押印を必要とする承認のプロセスが「適切か否か」にある

 例えば、企業ではさまざまな場面で承認印が必要な手続きも残っている。予算の組み立てやプロジェクトの稟議など、思い浮かべればキリはないが、部下が上げてきた書類に対して、役員や上司が流れ作業のようにノーチェックで押印しているだけであれば、たしかにそのプロセスは必要ないと判断できる。

 しかし、コンプライアンスが強く求められる昨今の世相を考えると、そのプロセス自体を省くことに対して、リスクがつきまとうと考えてしまうのも事実だ。また、ハンコレス化でもうひとつ考えておきたいのは、その先で課題に上がる「ペーパーレス化」である。

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