UberEatsで働く学生を見て感じた、スキマ時間の活用「ギグワーク」/常見陽平
個人事業主の労働者性が問われる
多くの関連サービスがある中で「Uber Eats」は、もっともギグワークに向いている仕事だと筆者は捉えている。
日本でも古くからあった飲食店の出前の文化を広げたサービスでもあるが、お店からの依頼を受けてやりたい人が運ぶという仕組みは、働く側にとってもハードルは比較的低く、自分の体と自転車などがあれば誰でもできると思わせてくれるものだ。
ただ、世界的に浸透していくにつれて、だんだんと労働環境に対する意見も浮かび上がってきた。例えば、配達員の処遇改善を求める声が、ちらほらと聞こえてきたのはそのひとつである。
注意しなければならないのは「Uber Eats」の配達員が、個人事業主としてサービス側と業務委託契約を結んでいる点だ。昨今、SNSを通して労働問題に強い弁護士などの専門家が問題提起する場面もみかけるようになったが、基本的にギグワークに雇用契約はなく、働く側にも多くの責任が伴う。
メリットばかりを強調するケースも目立つ
視点を変えれば「企業側が労働者を安くこき使える仕組み」になりかねないのもまた真理で、さらに、アルバイトや正社員のように、直接雇用されているわけではないため、仕事上で発生しうる責任や補償は原則的に自分自身が受け持つことになる。
かねてからフリーランスなど、個人事業主として働いていた人からすれば当たり前ではあるが、一方で、どこかの企業に所属して従業員として働いていた人たちが参入した場合、もともとの習慣から、その点が意識として根付いていないのは仕方がないのかもしれない。
ニュースなどを見る限りでは「スキマ時間で自由に働ける」といった、メリットばかりを強調するケースも目立つ。現状、コロナ禍での収入源などもありギグワークに頼らざるをえない人たちもいるが、少なくとも報道については、礼賛するにしろ批判するにしろ、その実態を伝えきれていないのも事実だ。