UberEatsで働く学生を見て感じた、スキマ時間の活用「ギグワーク」/常見陽平
師走になり、この1年を振り返る話題も多く交わすようになってきたが、今年はやはり、新型コロナウイルスの影響により起きた社会の変化に目を向けざるをえないだろう。
ギグワークはユートピアでありディストピア
今回は、「ギグワーク」と「ハンコレス化」について、改めて考えていきたい。
空いた時間を利用できる働き方「ギグワーク」が注目されたのも、今年を象徴するできごとだろう。ただ、一部のメディアではコロナ禍での労働環境悪化に向けた“救世主”のような扱いも目立っていたが、筆者としては、ユートピアでありディストピアでもある問題として捉えていた。
短時間で自分の好きなタイミングで仕事ができるのは、働く側からすれば、たしかにメリットかもしれない。関連するサービスをみると、その多くはやりたいと思ったときにアプリを開けば仕事を探せるものばかり。
場合によっては、ギグワークのみに打ち込むことで月に数十万円と正社員よりも高い報酬を得ている人たちもいる。
授業の空き時間に「Uber Eats」
実際、筆者が教員を務めている大学でも、授業の空き時間にアルバイト感覚でギグワークへ打ち込む学生をみかける。代表格である「Uber Eats」のロゴが描かれたバッグを背負いながら教室へ駆け込んでくる姿は、何とも今どきな光景だと思わされる。
もちろん「Uber Eats」だけではなく、個人の時間やスキルを活かして30分単位で売り買いできる「タイムチケット」や、スキルマーケット「ココナラ」など、サービスを調べてみると種類は多様だ。
時間やスキルを直接報酬に変えられるのは夢のような働き方であり、まさに誰もが目指していたはずのユートピアのようにも映るが、一方で、ギグワークの浸透により、仕事そのものの根源が問われているようにもみえる。