笑える時計で人気「フランク三浦」、社長は「仕事が大嫌いなんですよ」
高級腕時計メーカーのフランク・ミュラーのパロディブランド「フランク三浦」が、2020年11月に第2弾となるスマートウォッチの販売を開始した。「クリスマスに絶対にプレゼントしてはいけない時計」として知られ、そのチープさがプロ野球選手や芸能人などハイソな人たちのツボに入ったことで、SNSなどの話題をさらってきた同ブランド。
本家との商標権侵害訴訟なども乗り越えながらブランドを育て上げてきた株式会社ディンクスの下部良貴社長に、設立から10年以上が経った「フランク三浦」の歩みを聞いた。
お手頃価格のスマートウォッチを開発
4000~6000円という格安な価格帯が評判のフランク三浦。今回、新発売されたスマートウォッチも税込9900円と、たいへんお手頃な価格だ。
「業界的にも時計が売れない厳しい状況ですけど、スマートウォッチはその中でもまだ頑張っているので、今回のスマートウォッチを出しました。まあ……あまり深く考えていないです(笑)。機能は一応ちゃんとしているんで買ってもらえたらなと思います。
最初に業者からサンプルきたときはもっとむちゃくちゃでしたけどね。充電完了のメッセージがひらがなで『いっぱい』って出てきて(笑)。『これは面白いから残しておこう。ちょっとかわいい』みたいな感じで完成しました」
業界人にウケたのがブームのきっかけ
フランク三浦を展開するディンクス社はオリジナル時計やOEM製作、ブランド時計の輸入販売などの事業を行う会社のようだが、下部社長が同ブランドを発案した際の周囲の反応は、かなり微妙だったようだ。
「こんなふざけたもの売れるはずがないという受け止められ方で。実際、最初の3年くらいは全然売れなかったです。売り上げ比率的に1割も満たなかったです。そんななかで、転機になったのが、PL学園時代の同級生で、ヤクルトスワローズOBの宮本慎也選手が最初に反応してくれたのが大きかったです。
彼とはプロ野球行ってからも繋がっていて、コーチになってからは選手へのプレゼント用に10万~20万円の時計の注文をよくもらっていたんですね。それで、ある時まとめて『フランク三浦』の時計を送ったら『これめっちゃおもろいやん。チーム全員に買うから送って』と。それから芸能人やテレビ関係者など感度が高くて、少しとんがった人たちにめちゃめちゃウケはじめたんです」