スシローが過去最高売上に。コロナ下の寿司チェーン、勝ち組・負け組の違い
スシローの躍進を支える「高付加価値」戦略
では、今後の回転寿司チェーンの成功の鍵とは何なのでしょうか。稲田さんは「寿司そのもののクオリティ」をあげます。
「何を食べても均一価格、というのは回転寿司業界全体を伸長させてきた重要な要素であることは言うまでもありませんが、今後はむしろ、高額でも高品質な選択肢があるという事が強みになっていくと思います」
また、すでに「寿司そのもののクオリティ」が重要となる萌芽は見られており、スシローの躍進からも少なからずこの傾向が読み取れます。
「スシローはシーズンごとに高品質な高額商品を積極的に投入するという戦略で、さらに“寿司そのものがおいしい”というイメージを喚起、他社を引き離そうとしています」
付加価値を提供できるかが重要に
大手回転寿司チェーンは、価格が均一かつ安いということが大きな魅力となっています。しかし、この大きな魅力を持った上で、稲田さんは回転寿司チェーンの次なる成長に期待を寄せます。
「単に安さを競い合うチキンレースではなく、いかに高価格でも消費者が納得する付加価値を提供できるかが、業界全体の健全な伸長という意味も含めて重要なのではないでしょうか」
老若男女が訪れ、コロナ禍以前は多くの外国人観光客も訪れていた回転寿司。厳しい状況のなかでも、美味しく進化していくことがスシローの躍進を支えているのでしょう。
<取材・文/菅谷圭祐>