スシローが過去最高売上に。コロナ下の寿司チェーン、勝ち組・負け組の違い
プロが読み解く「くら寿司好調」の要因
「スシローとくら寿司が、他の回転寿司チェーンの顧客を奪っているという構図はコロナ前からありました。さまざまな要因があるのでしょうが、そのひとつに寿司以外の商品を充実させてきたことがあると思います。ラーメンやスイーツなど、寿司屋の固定概念を覆す、どこか滑稽というか“ネタ=単なる話題性”にすら見える思い切った戦略です」
稲田さんはさらに、くら寿司の徹底したサイドメニューに目を向け、その事業戦略の有効性を指摘します。
「特にくら寿司は、丼物やカレー、コーヒーにまで手を広げ、話題性を演出するとともに、ファミリー層にとっての使いやすさに拍車をかけました。くら寿司は一時期はバイトテロ事件をきっかけに思わぬ顧客離れを招きましたが、その事件もようやく風化したというのが今の状況だと思います」
寿司チェーンの明暗を分けたのが寿司ではなく、サイドメニューという点に驚きです。
はま寿司、かっぱ寿司の状況は?
一方で、はま寿司とかっぱ寿司はどうでしょうか。
はま寿司を経営するゼンショーグループが11月13日に発表した第2四半期決算短信によると、はま寿司が含まれるファストフードカテゴリーの既存店売上高は前年同期比の14.8%減。
4月1日から9月30日が累計の対象のため、コロナの影響がもっとも大きかった3月や4月の業績も含まれた数値ですが、同グループの牛丼カテゴリーが前年同期比6.1%減に留まっていることも踏まえると、減少は小さくない分野と言えそうです。
かっぱ寿司は4月以降、全店舗の売上高が前年同期の値を下回り、スシローやくら寿司と比べると業績の回復が遅れていることがわかります。はま寿司、かっぱ寿司が他の2社に引き離されてしまった背景は何なのでしょうか。
「回転寿司チェーンはサービス方法やシステムやオペレーションはほぼ完成している成熟業界だと言えるでしょう。どこかが増えればどこかが凹むゼロサムゲームとなっているため、はま寿司やかっぱ寿司は苦戦を強いられているのでしょう」