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就活への違和感から生まれた「#HairWeGo」パンテーンの広告が心に刺さる訳

ビジネス

学校の髪型校則に「疑問を投げかける」

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2019年に展開した「#この髪どうしてダメですか」の広告キャンペーン

 2019年には、学校の髪型校則をテーマにした「#この髪どうしてダメですか」の広告キャンペーンを実施。学校では、規定の頭髪の遵守や地毛証明書の提出など“髪型”に対するルールが厳しく定められている。

 こうした実態があるなか、学生と先生を対象に「髪型校則に対する本音」を、P&Gが調査したところ、学生はもちろん、先生からも「疑問に感じるものの、今さら校則を変えるのは難しい」というジレンマを持っていたことがわかったそうだ

「ブランドとしてメッセージを発信することで、日本の髪型校則についての疑問を社会全体で考えるきっかけづくりができないかと思ったんです。『あなたらしい髪の美しさを通して、すべての人の前向きな一歩を応援する』というブランド・フィロソフィーに合うテーマだったので、少しでも学生の個性が尊重されるような世の中になっていくお手伝いができたらという想いで取り組みました」

「#この髪どうしてダメですか」のキャンペーンは新聞広告やSNS、ラジオを通して展開したところ、キャンペーン開始わずか3日で2万件を超えるリアクションや共感の声がTwitter上で寄せられたという。

就活はLGBTQ+への理解や配慮が乏しい

 これまで日本の画一的な就職活動や学校現場に目を向けて、ブランド広告を行なってきたパンテーン。今年9月30日からは「#PrideHair」をテーマにLGBTQ+にフォーカスし、「自分を偽らずに、自分らしさを表現できる就職活動とは何か」を考える契機となるようなブランド広告を展開している。

 今回「LGBTQ+」にフォーカスしたことについて大倉氏は「ジェンダー関係なくすべての就活生が、自分らしく表現できる就職活動が行える社会にするため、少しでも前向きな一歩を踏み出せる後押しをしたかった」と説明する。

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2020年9月30日から展開する「#PrideHair」プロジェクト。LGBTQ+の元就活生の体験談をもとに「自分らしさを表現できる就職活動」について考えるきっかけを与えている

「これまでパンテーンは一貫して、髪を通して、自分を自分らしく表現できる就職活動のあり方を考えるきっかけづくりをしてきました。そのなかで見えてきたのが、就職活動における暗黙のルールに則った“型”通りの服装や振る舞いを行わないと採用されないのではという悩みや不安を抱える就活生が多いこと

 髪型や服装、メイクなど本当は自分らしさを出したい。でも、採用されるためには自分の個性を偽ってでも企業にアピールしなければならない。このようなジレンマを体験しているのは、LGBTQ+の方々が顕著なのでは考えるようになりました」

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