上半期No.1ブレイク・志尊淳「代わりなんていくらでもいる」と言われた過去
――舞台にはこれまでにも数多く立たれてきたかと思いますが、『春のめざめ』ではどこが違ったのでしょうか?
志尊:これまではミュージカル作品で、『春のめざめ』はストレートプレイだったんです。等身大の役柄を、今までとは違うアプローチで。(演出の)白井晃さんには、すごく追い込んでいただきましたね(笑)。
――追い込むというのはたとえばどんな。
志尊:本番前日に、「これじゃ幕を上げられないから、中止だ」とまで言われました(苦笑)。
――すごいですね。相当追い込まれました?
志尊:おそらく大したことではないと思います。でも自分にとっては、かなり追い込まれましたね。幕が上がったときは必死でした。最後までとにかく、ただただ必死で。
だから終わってすぐに、何か変わったことはありますか?と聞かれても、何もありませんという状態でした。でも1年経った今、感覚的な問題ですが、“感情を開く”という部分ですごく勉強になっているなと感じます。
――深いところまで開けるようになった。
志尊:そうですね。でももちろん『春のめざめ』だけではありません。そのあとにやった「植木等とのぼせもん」というドラマもそうでしたし、いろいろな積み重ねです。ただ、大きく変化したのは『春のめざめ』かなと思います。
かっこ悪くても、やったことは自分に返ってくる
――役者という仕事が自分の道だと感じられるようになったのは、いつ頃ですか?
志尊:今も感じてません。自分の道だとは。
――そうなんですか!?
志尊:天職だとか、自分の道だとは思っていません。ただ毎回、自分なりにがむしゃらにはやっています。需要があってこそ成立する仕事なので、辞めろと言われたら分かりましたと、いつでも言えるくらいの気持ちでやっています。
――分かりましたと言えるのは、逆に、全力でやっているからこそということですね。
志尊:いつも自分のやれる力はすべて出しています。この仕事を始めて7年になります。いろんなチャンスをいただいてやってきて、そのうえで辞めろと言われたら、自分自身が切り開けなかった結果だと思うので。自分の道だとはとても言えません。僕はとにかくがむしゃらにやるだけです。
――最後に20代に向けたメッセージをお願いします。
志尊:恥を捨ててがむしゃらにやる姿を見ていただきたいです。それが、どんなにかっこ悪い姿だったとしても、自分がやったことというのは、自分に返ってくる、ちゃんと付いてくるものだと思うんです。あとは恥をさらせるかどうか。
僕も「お前のことなんて誰も見ていない。代わりなんていくらでもいる」と何度も言われました。だったら逆に、かっこ悪くても、自分の出せるすべての力を出したほうがいいと思ったんです。
全力でやりきって、ダメだったら、またそこで考えればいい。周りの目を気にせず、やることが大切だと僕は思うし、この作品からも感じることができると思います。
<取材・文・撮影/望月ふみ>
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