失読症を乗り越え天職に。23歳「太神楽師」がYoutuberになったわけ
コロナで収入激減でも「不安は全くない」
そんな仙成さんにも、新型コロナウイルス感染拡大による影響が直撃した。
「寄席がすべて公演中止に追い込まれ、収入はほぼゼロになりました。現在は少しずつ寄席も再開されていますが、仕事量は去年の半分以下。現在の収入だけでは家賃も払えず、持続化給付金をいただいたり、貯金を切り崩したりして生活していますね」
また、2020年の12月にスペイン・オーストラリアの二拠点で海外公演も決まっていたものの、コロナの影響でやむなくキャンセルに。それでも、将来への不安は「全くない」という。
「もともと、師匠からこの世界では食ってけないと言われていますし、儲けに期待して太神楽師になったわけではないですから。むしろ憧れていた好きな仕事で、今まで生活できたのはなんと有難いことかと思ってますよ」
YouTubeで寄席を身近に
道半ばで断念した海外公演も含め、将来やりたいことはたくさんあるという仙成さん。とくに夢見ているのは太神楽の知名度向上への貢献だ。
「誰もが太神楽のことを知っている世界になれば、これほど嬉しいことはありません。だから、こうしてメディアに取り上げていただけるのは有難いですね」
自分自身ではまだ太神楽の普及活動をそれほどできているわけではないというが、最近、同じく寄席芸人の柳家小もんと共同でYouTubeチャンネル「仙成小もんチャンネル」を開設したそう。
「YouTubeでは、まるで楽屋にいるような素に近い落語の師匠方の様子を撮影し、皆さんにもより寄席を身近に感じてもらえるような動画を公開しています。僕たちだけが独占してる寄席の舞台裏を、一般の方にも知ってもらいたいですね」
<取材・文/齊藤颯人>