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伝わらなかった「バランス栄養食」…カロリーメイト37年間の苦戦と手応え

ビジネス

カロリーメイト独自の価値とは何か

 追い風となったのがドラッグストアチェーンの台頭と、1993年、カロリーメイトの不動の人気製品「チョコレート味」の発売だ。それ以来、カロリーメイトは毎年右肩上がりの成長を見せていた。しかし、2010年ごろに一度売上が鈍化し、苦戦を強いられた時期があったと吐露する

「手軽に栄養補給できるという訴求だけでは、食べる時間がないときやちょっと小腹が空いたときの『携帯食』としての側面が強くなってしまい、他社との差別化が図れなかった。この時期は苦労しましたね。『これを持っておけばいいよ』という訴求だけでは、カロリーメイト独自の価値ではないと。

 時代が変化するにつれ、他のメーカーも栄養調整食品を市場に出していたので、今一度カロリーメイトにしかない価値の原点に立ち返り、ちゃんと”バランス栄養食”のコンセプトが伝わるよう意識するようになりました」

時流に沿った「バランス栄養の付加価値」を

 実は、カロリーメイトのパッケージは37年間ほとんど変わらずに、ずっと黄色い箱に英文がびっしり書かれているデザインを貫いている。大塚製薬の他の製品含め、組織風土としてパッケージは変化させない思いがあるそうだ。

カロリーメイト

人にとってバランス栄養は普遍的であるというメッセージ性を込めたタグライン「BALANCED FOR HUMAN」。発売から37年経った今でも変わらぬブランド姿勢を表している

「栄養素の含有量をアピールしたり、もっとデザインを追求したりしてもいいのではと助言を受けることもありますが、栄養は人間にとって普遍的に必要なもの。カロリーメイト独自のコンセプトがブレないよう、パッケージは基本的に今も昔も変わらず一貫性を持たせているんですね。逆にパッケージではなく、時代によって栄養に関する問題が変化していくのに合わせて、コミュニケーションを行うように心がけています」

 社会的に表面化される栄養問題にどう向き合い、解決していけばいいのか。カロリーメイトの宣伝・プロモーションにおいても、バランス栄養食の付加価値を伝える姿勢は首尾一貫しているという。

今の時代、昔に比べて栄養をしっかり摂ろうとする意識は高まっています。健康ブームやオーガニックなどの知識や情報も広く一般化していて、ライフスタイルの中でサプリメント摂取やスムージーを作ってビタミンの補給など、健康を意識した食生活を送る人は増えている。しかし一方で、特定の栄養素にのみ偏ってしまいがちで、バランス栄養の観点から言えばもっと課題があると考えています」

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