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北朝鮮で格差が拡大。金正恩氏が「軍事パレード演説中に涙を流した」理由

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 2020年10月10日、北朝鮮は朝鮮労働党創建75周年の記念日に合わせ、2年ぶりに軍事パレードを実施し、米国への直接攻撃を可能にするよう設計された大陸間弾道ミサイル(ICBM)を披露した。今回公開されたICBMは、北朝鮮が2017年秋に発射したICBM「火星15号」より大きく、多くの弾頭を搭載できるように設計されたとみられる。

金正恩

金正恩 Portrait of the Secretary General of the DPRK North Korea Kim Jong Un. © Alexander Khitrov

 金正恩朝鮮労働党委員長は同日の演説のなかで、「北朝鮮は決して先制的な軍事行動に出るつもりはないが、敵国が北朝鮮にプレッシャーを与え続ける限り、核を含めた抑止力を強化する」と発言している。

金正恩氏が演説中に涙する

 一方、金正恩氏は最近の国内事情に触れた際、感情が高ぶり涙を見せつつ、「今年の国難でどれほど国民がつらい思いをしたことだろう。それでも愛国的な献身さを示す兵士らに涙なしに応えることはできない」などと発言した。

 金正恩氏が大勢のいる前で涙を見せるのは異例だが、今日、北朝鮮は新型コロナウイルス、台風などの自然災害、そして経済制裁の三重苦に直面しており、これまでなく国内は厳しい情勢にある。

 今年1月以降、新型コロナウイルス感染拡大によって中朝国境が閉鎖されているが、それによって中国との貿易が9割も減少し、国内で食糧難や失業者の増大がこれまでになく深刻化しているという。

 2019年、北朝鮮の対中貿易依存度は過去最大の95.2%に上ったが、今日ではほとんど物資が北朝鮮国内に入っておらず、国民の4割以上が食糧危機に直面しているとされる国内の情勢が懸念される

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