今さら聞けないLCCの常識。時期によっては大手より割高にも
レガシーキャリアを利用する利点は?
とはいえ、LCCではなく、レガシーキャリアを利用するメリットもあります。
たとえば、定時運航率(定刻から15分以内に到着する確率)は、直近の29年度上半期と第三四半期を見ると、レガシーキャリアが約90%、LCCが約80%です(参照:国土交通省より)。
LCCではひとつの機材をなるべく高頻度で動かして利益を上げようとするので、到着してから次の出発までの時間が短く設定されており、トラブルがあった際における整備などに余裕が少ない分、主に夕方から夜にかけて、遅れが発生しやすくなっています。
定時運行率10%の差をどう見るかですが、気になる方は午前中はLCC、夕方以降はレガシーキャリアと分けて利用するのも手ですね。
空港、マイレージ、遅延補償に見るLCCのメリット
レガシーキャリアは東京の羽田空港、大阪の伊丹空港と市街地に近い空港に発着する一方で、LCCは成田空港、関西空港と郊外の空港を使用するため、移動に時間と費用がかかる場合があります。
しかし成田、関西のほうが自宅や目的地から近い場合は、LCCを利用するメリットにもなり得ます。また東京駅と成田空港を1000円で結ぶバスが10分間隔で走っており、羽田と成田の差は以前より縮まっています。
さらに、レガシーキャリアなら飛行機の搭乗やクレジットカードの利用でマイルを貯めると、特典航空券が使用できます。飛行機を頻繁に利用する方は、恩恵にあずかる機会があるかもしれません。
しかし、頻度の低い方が受けられる恩恵は薄く、レガシーキャリアに拘るメリットはあまり高くありませんのでLCCという選択肢が出てくるでしょう。
レガシーキャリアで遅延や欠航が発生した場合は、状況により他社便への振替など融通を利かせてくれます。しかしLCCの振替は自社便のみなで、繁忙期では数日待たされることもあります。
夏の沖縄、冬の北海道など天候の影響を受けやすい時期は、保険としてレガシーキャリアの利用が良いのかもしれません。
スカイマークは中間の性質がある
もうひとつの選択肢として、スカイマークがあります。
レガシーキャリアより安い航空券を販売していますが、羽田空港発着で、座席指定や受託手荷物のサービスも航空券に含まれている点がレガシーキャリア的です。
逆に無料の機内サービス、マイレージ制度はありませんので、これはLCC的だったりします(スカイマークは、関西圏では神戸空港を使用しています)。
航空券の価格、サービスともに、ちょうどレガシーキャリアとLCCの中間に位置しています。
しかし、先ほど参照した直近の定時運航率(29年度上半期と第三四半期)で見ると、スカイマークはレガシーキャリアを凌いで、日本の航空会社の中でもっとも高く、コストパフォーマンスに優れます。
価格だけではなく、航空会社の特徴を知っておくことで自分にあった航空券を選ぶ選択肢として、LCCもぜひ取り入れて見てほしいですね。
<TEXT/的場雄一郎>