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「吉野家」の看板はなぜオレンジ色なのか?きっかけはアメリカ視察

ビジネス

「黒い?野家」に反応した意外な潜在顧客とは?

?野家

大西氏がデザインを手がけた「?野家 柏東口店」の内観。カフェのような内装デザインに驚くお客さまが多い

「黒い?野家」に対するメディアやSNSの反応はさまざまです。

「あの?野家がおしゃれカフェみたいに変身!」
「その辺のカフェよりクオリティが高い!」
「ケーキやドリンクバーまである!」
「各席にUSBポートやコンセントがあってWi-Fiも飛んでいる!」

――などなど、ターゲットである若い男女を中心に大好評です。驚いたのは、まったくノーマークだった60~70代のシニア女性が来店したことです。この世代の女性は、若い世代と違って牛丼チェーンに入ることに抵抗感があるので、従来の?野家ユーザーではありません。

「黒い?野家」が?野家デビューとなったシニア女性も多く、実は彼女たちは?野家で食べてみたいというニーズを密かに持っていた潜在顧客だったのです。シニア女性以外にも、今まではなかった女性のおひとりさま利用やテイクアウトも増えており、「黒い?野家」は高い収益を上げています。

?野家

?野家 柏東口店

 同じ?野家チェーンでも、看板の色や店舗の空間デザインをがらりとイメージチェンジしたことで、潜在顧客のニーズを掘り起こすという副次的効果を生み出すことに成功したのです。

 こうして「黒い?野家」が大きな話題になり成功しているのも、「オレンジの?野家」の認知度が日本全国に浸透していたからこそ。その対照的な存在としての意外性が際立つのだと思います。「黒い?野家」はまだまだ進化するかもしれない未知のパワーを秘めた存在です。大切なのは、「オレンジが決まりだから、ほかの色なんてありえない」と、ひとつのブランドイメージに固執するのではなく、自らのブランドイメージの殻を打ち破っていく革新的なチャレンジ精神だと思います。

<TEXT/大西良典>

■ 大西氏がデザインを担当した有名外食チェーン店
なか卯/すき家/?野家/かつや/すた丼/ココス/ビッグボーイ/デンバープレミアム/牛カツ京都勝牛/千房/モスバーガー/フレッシュネスバーガー/サーティワンアイスクリーム/英國屋/まこと屋/味千ラーメン/ローソン/すかいらーくグループ/サトフードサービスグループ/ゼンショクグループほか多数

OLL DESIGN株式会社代表取締役。1978年、兵庫県神戸市生まれ。高校卒業後に神戸の三大ゼネコンに入社し、21歳で建築士になる。24歳で「なか卯」の店舗システム部にヘッドハンティングされ、27歳で「すき家」をはじめとする各種外食チェーンを運営する「ゼンショー」のグループ会社に出向。2010年に独立。東京と中国・上海に支社を設立、国内外で店舗デザインを展開

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