「4畳半の会社に4人で住んでた」29歳社長の破天荒な起業エピソード
シニアの転職支援が軌道に乗るまで
こうして粘り強く事業を続けていくなかで、チャンスを見つける。就業を希望するシニアの数に対して、採用を希望する企業の数が少なく、就職難易度も高いのだ。実家で60歳を超えた父親が元気に働く姿を見たこともあり、シニアの転職支援を志した。
「シニア人材サービスに目を付けたものの、お金はありません。そこで、路上でシニアの方に片っ端から声をかけ、とにかく求職者を集めました。みんなと協力して声掛けした結果、みなさんが職に飢えている実態を痛感しましたね」
求職者を集めた後は、彼らのマッチングを実現するべく売り込みへ駆け回る。
「高齢者採用を希望する会社が少なく、1人の求職者をマッチングさせるためにメンバーと100社以上に電話を掛けたり、飛び込みで営業に行ったりしてました。この期間が今までで一番しんどかったですね」
こうして地道な活動を続けていると、やがて「シニア人材の需要が大きい職種」があることに気づいたという。その後は職種を絞りながらマッチングを目指すことで事業を成長させ、同時に元・IT企業の知見を活かしてマッチングシステムを自社開発。飛躍的な発展につながった。
起業したい学生にするアドバイス
文字通りゼロから学生起業に成功し、現在も右肩上がりの成長を続けているシニアジョブ。そんな経験を伝えるべく、中島さんは無料で学生起業相談を受け付けている。
「私のブログとちょっとしたリリースで発信しているだけなんですが、毎週1人くらいは相談に来ますね。基本的には、起業した学生よりも起業前の学生が多いと思います」
相談に来る学生や、悩みの中身はまちまち。個別の相談に応じて質問に答えるが、彼らには「ある傾向」を感じるという。
「もちろん、プロダクトやビジネススキームに関する具体的な相談が多いのですが、背景には『起業の背中を押してほしい』という心理を感じます。私も起業を不安に思う気持ちはよくわかるので、その方向でのアドバイスを心がけていますね」